日本の『中文導報』最新刊が、JCC新日本研究所副所長である庚欣氏の『米国の南海における動きにさしたる脅威なし』という文章を掲載した。その要旨は以下の通りである。
米国はここのところ「ヒラリーによる米国権益の公表」・「ベトナムとの合同軍事演習」・「南海紛争に介入」といった動きを通じて、継続的に南海において中国を牽制している。これは黄海における韓国との合同軍事演習とも関連しているもので、まさに勢い盛んというべきものである。では米国のこれらの動きは、新たな戦略上の意義を有するものなのであろうか?これらは米国が中国に対し「ポーカーの手札を提示」(最終決着を迫るさま)し、或いは「剣を抜く」ことの表明であるのだろうか?どうやらその答えはNOであるようだ。
米国の動きに新たな意義なし
米国が中国周辺に構築した包囲網である、いわゆる「第一列島線」から「第二列島線」は、現時点においても未だに残存している。米軍が南海などの中国近海で活動することも、今年に始まったわけではない。少し比べてみればすぐに、最近の米国の動きがみな「使い古された手口の再利用」に過ぎず、何ら新たな意義を有するものではないことがわかる。
中国主権の核心的利益にまで及ぶ観点からみれば、米国の「台湾関係法(Taiwan Relations Act)」や数年前の日本との間における「周辺有事」法案関連の動きは、いずれも当時において一種革新的なものであった。しかし今日の米国の動きはそのようなレベルにまでは達してはおらず、従前の枠組を破るものではない。米国政府は目新しい言い回しを使ってはいるものの、新しい政策を打ち立てたわけではないのである。またその政策は、中・米関係を覆すほどの勇気と実力を備えるものでもない。
8月20日付の日本の『読売新聞』は、以下の3つの情報を報じた。一つは、米国が黄海への空母派遣をあきらめたことにつき、中国の態度に配慮したためと指摘する記事である。二つ目は、日米「離島奪還訓練」についての記事で、台湾がすぐさま関心を示したことから関係各方面の利益状況が異なることがわかるとするものである。そして三つ目は、米国とベトナムの合同軍事演習につき、ベトナム国内の反応は冷淡であるという記事である。これらの情報はいずれも米国にとって不利なものといえる。なぜならば、米国が南海に介入しようとすれば、中国の反応や各方面の利益状況の差異、そして各当事者の衡量に基づく選択と向き合わざるを得ないことを示すものであるからである。そしてこれらの事項はいずれも、新たな意義も有しない米国のわずかな動きによって左右しうる類のものではない。