今年は「中産階級」関連の話題が事欠かない。北京工業大学は「北京市の中産階級は4割を占める」との報告を公表しており、アジア開発銀行のレポートでは「中国の中産階級人口はアジア最大であり8億1,700万人に達している。アジア諸国の中ではトップであり、中国全体の人口の6割以上を占める」となっている。中国の中産階級はそんなに拡大しているのだろうか?答えはノーだ。それらのデータはあまりにも誇張され過ぎている。
ある掲載記事によると、いわゆる中産階級と呼ばれる人たちの中には、異常なまでに高騰した住宅不動産価格のために生涯収入の半分を借り越していることが分かる。「住宅の奴隷(住宅ローン地獄)」「自動車の奴隷(身分不相応な車のローン支払い・維持するためにその他支出を切り詰めること)」「カードの奴隷(カードローン地獄)」「子どもの奴隷(子どもの教育費・養育費のために献身する親達を指す)」などの名詞が出てきたのは、中産階級の人々の真の姿をあらわしているからである。中国の中産階級の割合は誇張されているだけでなく、その中には「エセ中産階級の者」や「中産階級に相当しない者」も多く含まれており、中産階級として本来あるべき暮らしのレベルには至っていないのは明らかである。「奴隷」という言葉で形容される階級の、その生活水準は決して「中産階級」の名にはそぐわないのである。
中産階級の問題は中国だけでなく、米国でも同じく問題視されている。オバマ米大統領は9月8日の演説の中で、年末に期限が来る中~低所得者層への減税を恒久化する考えを表明したことをメディアが伝えている。「オバマ大統領は希望の見えない景気回復の刺激策を提案し、次の中間選挙の備えるために、中~低所得者層による民主党への支持を得ようしている」と世論は分析している。
オバマ米大統領が表明した「中~低所得者層への減税計画」は確かに一石二鳥な提案である。だが、これは米国社会の「中産階級の危機」という現実問題を反映していると思われる。統計データによると、米国の90%の家庭では、世帯収入が1973年からほとんど上昇していないが、富裕層と言われる1%の家庭では世帯収入が3倍に増加している。さらに注視すべきこととして、中級階級の支出が減っていることである。これは、中~低所得者層の収入が上昇するチャンスが少なくなっていることを示している。このためオバマ米大統領はこの度の減税計画を以って中~低所得者層向けの支援を行わざるを得ないのである。