中日摩擦から利を得る米国
米国はこれまでずっと東アジア地域における「オフショア・バランシング」として存在してきた。東アジア地域には大国が多く、この地域の安定を維持することで、そこでの利益最大化を追及することが、米国の東アジア戦略の核心である。中日間においても、米国は両国が近づきすぎたり離れすぎたりしないよう、一定レベルにおいてバランシングの役割を果たしてきた。
2005年に中日関係が冷えきった際にも、米国は積極的に双方の接触を勧めて和解を促した。そして2009年、鳩山政権発足後、日本が中日関係発展に積極的態度をとると、今度は、米国がこれを非難、中日の接近に警戒心を高めた。
ところが実際は、日本は長い間、米国が東アジアにおいて中国をけん制するための分銅として存在してきたのである。冷戦のときから、日米同盟は米国の東アジア同盟における重要部分である。日本は20世紀70年代以降、「正常国家」としての歩みを再開し、その独立性は日増しに拡大してきたものの、米国との特殊な関係は続いていた。この前の鳩山内閣崩壊が、まさに米国の特殊な影響力を再現したものであると言える。
2005年に行われた積極的な中日関係調停とは異なり、今回、米国は日本の釣魚島での「火遊び」に全く干渉しない。ただ、フィリップ・クロウリー米国務省スポークスマンが、「両国の和平解決を希望する」と発表しただけである。米国のこの消極的態度は、日本の「放火」を通して中国に間接的な圧力を加え、中国にナーバスな問題において譲歩せざるを得ない状況に持ち込もうとしているようにも受け取れる。
しかし長期的に見た場合、戦略拠点を中東からアジア太平洋地域に移行させている米国が中日関係を故意にこじらせて、そこから利を得ようとしているのではという一部報道もある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年9月16日