2010年9月5日、北京にはワシントンからの客人2名が迎えられた。米国家安全保障問題担当筆頭大統領次席補佐官トーマス・ドニロン氏とホワイトハウスのサマーズ国家経済会議委員長である。外交の激しい論戦及び黄海での一触即発の摩擦を経て、一度氷点に達した中米関係にようやく暖かい光が差したと思えば、今度は隣国日本との摩擦が激しさを増している。
中国にとっての今の太平洋は、その半分は未だ解けない氷山であるが、もう半分は日増しに勢いを増す炎のようなものである。
米国を笠にして中国に強硬姿勢を示す日本
日本民主党前幹事長小沢一郎氏はこれまでずっと親中派を通してきたが、9月5日の菅直人首相との党首争いの選挙では、これまでと打って変わって、重点的に中日領土問題に言及し、「歴史上、釣魚島が中国の領土になったことは一度もない」とした。続いて菅首相も釣魚島問題についての自己見解を表明したが、それは小沢氏とほぼ同じものであった。
その両氏の見解表明後間もなく、9月7日午前、釣魚島で中日船舶衝突事件が発生、日本政府は前代未聞の強硬姿勢を採り、中国側の船舶及び船員を拘束した。
選挙政治の要素はさておき、日本の今回の強行姿勢は、ここ数カ月、米中間でヒートアップしている摩擦と関係しているといえる。日本は米国の東アジアにおける最大の盟友として、これまでずっと日米関係をその外交の基礎としてきた。ここ数年、ますます発展する米中関係は日本にとっては面白くないことであり、米中間に何らかの摩擦が生じることに喜びを感じてしまうのである。
前任の鳩山由紀夫氏が残した日米関係の亀裂を修復するという難問が、菅総理の前に立ちはだかった。菅氏は総理就任後、すぐに中国訪問をキャンセルし米国の不満を沈め、その後の政策においても親中路線から親米路線に急転換した。特にここ最近の米中関係悪化は、菅氏が中国に対して強硬姿勢を採るための絶好のチャンスとなった。
中日船舶衝突事件発生後の9月10日、民主党政府は最新の『防衛白書』を発表、抑止力としての沖縄米軍の必要性を強調し、再び「親米防中」路線に戻った。また日本メディアの報道によれば、日米は今年12月に、釣魚島周辺を含む海域において、合同軍事訓練を行う予定だという。
この点から分かるように、民主党は米中摩擦を利用して日米関係を修復し、更にその政権固持につなげることを望んでいる。