米国の南中国海問題に対する積極的介入は、米国の戦略重心が東へと移動しつつあることと関係するとの見方もある。最近、米国はフィリピンへ軍隊派遣し、反政府武装の消滅に協力している。引き続き、フィリピンを基地に東南アジアでの軍事影響力を拡大する意図が明確である。そのほか、中日釣魚島問題を機に、日本に対し日米軍事同盟の強化を強調することで、アジア全域における米国の軍事的存在に「十分な根拠」を与えている。米国は南中国海地区の情勢が不安定であるかのように演出し、南中国海問題の国際化を推し進めようとしている。その目的は、中国に南中国海問題解決のために多くの戦略資源を投じさせることで、中国の台頭を抑え込むことである。
南中国海問題は中米軍事交流の新たな火種
今回のASEAN拡大国防相会議で、中米両国の国防相は、二国間会談を行うことになっている。これは今年始めに米国が台湾への武器売却を決定したことで中断していた軍事交流関係に「再起動」ボタンが押されたことを意味する。
先日、米「僑報」に掲載された論説によれば、近年、南中国海での摩擦が絶えず、南中国海問題は既に中米防衛交流におけるもう一つの重要課題となっていおり、中米軍事関係の今後の発展は、米国が積極的に紛争を起こさず、慎重な対応をとれるかどうかにかかっているという。
また、中米両国は南中国海における領有権問題はないが、航海自由権の問題で衝突している。結局のところ、本来中国と該当国家が両国間外交形式で紛争を解決すべき問題に、米国が積極的に介入することで、その問題を多国間の国際舞台に引き上げる形になったのである。オバマ大統領が9月にASEAN首脳会議で採択した共同声明では、南中国海問題に対しての論調がやわらかくなっている。これは賢明な選択と言える。米国は中国の核心利益との衝突を慎重に回避し、中米軍事関係が再び悪化することのないよう行動すべきである。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年10月15日