10月12日、初のASEAN拡大国防相会議がベトナム・ハノイで行われた。今回の会議は、ASEAN加盟国が防衛協力拡大についての初の協議の場となった。中国国務委員兼国防相梁光烈上将が、ゲーツ米国防長官とベトナムで会談することになっているため、今回の会議は、中米軍事関係改善の「テスト」であるとされている。しかしながら、南中国海問題が活発化している中で、米国や関係国が今回の会議を利用して何らかの「騒ぎ」を起こすのではとの様々な推測もある。
米露高官の会議初参加
今回のASEAN拡大国防相会議で、加盟国は海上安全保障、平和維持活動、軍事医療提携、テロ対策、人道・災害救助支援の5つの分野について協議する予定だ。
注目すべきは、今回の「10+8」国防相会議に、米露両国が対話国として初参加することである。これは去年7月にASEAN外相会議で、米露両国を「適切な時期に適切な形で」東アジア首脳会議に招待することを決定した事に続いて、両軍事大国をまた一歩ASEANに近づける実質的変化である。この米露の参加がASEAN諸国の安全戦略情勢に微妙な変化をもたらすという見方もある。
米国、南中国海問題をヒートアップ
ベトナム国防部は会議の前に、今回の国防相会議では、南中国海問題を含む具体的問題に触れないと表明した。しかし、このような地域安全協議の場は、米国にとって南中国海問題に介入する機会であり、関連国家も自らの「関心事」を提示する可能性が十分あるとの見方もある。
ASEAN国防相会議は安全問題の会議であり、南中国海問題は安全に関わる問題なので、関連国家が南中国海問題をこの会議に持ち込み、米国に何らかの発言をさせようとする可能性は否定できないとする専門家もいる。米国の方でも、このような仲裁者の役割を引き受けたいと考えている。これにより、ASEAN諸国が中国と南中国海問題について討論する際の心強い支えになると同時に、アジア太平洋地区での「リーダーシップ」をアピールことができるからだ。