香港メディア『太陽報』は10月16日、『中・米関係の新戦略』と題する論説を掲載した。その全文を以下に紹介する。
北京(中国政府を指す)の側からすれば、中・米が同盟関係を結んでいく上で、米国の台湾への兵器輸出問題という“目に入った砂粒”を容認することはできない、ということになろう。今年1月、米国は60億ドル規模の対台湾兵器輸出を発表した。これにより中国共産党は米国との軍事交流を停止し、さらには米国国防長官の訪中までも拒絶した。北京としては、米国は大陸(台湾に対して中国本土を指す)とより緊密な戦略パートナー関係を築きたいと欲するのであれば、台湾への兵器輸出を停止する必要があると考えている。
一方米国の立場からみれば、「台湾関係法」に基づいて台湾に兵器を輸出することは既定路線の政策であり外部からの影響を受けることはない、ということになろう。まず第一に、この政策には東南アジアと台湾が同盟関係を結ぶという政治的な意義がある。さらに第二に、軍需産業界の圧力の下台湾に兵器を輸出することで経済的利益を得られるという経済的意義をも有する。とはいえ、米国が輸出しているのは防御的な兵器だけであり、あくまでも台湾に自衛力を与えているにすぎない。それにもかかわらず中国政府はやたらに目くじらを立ててこれに反発し交流を停止した。しかし、このような対応によって米国の立場を変えることは不可能である、というのが米国の認識である。
近日ベトナムで開催されたASEAN国防相拡大会議において、米国のゲイツ国防長官は中国の梁光烈国防相に対し状況の改善を求める意向を示した。ゲイツ国防長官は、「米国の台湾への兵器輸出は(政府による)政治決定であって国防省に決定権限がある事項ではないから、米・中双方の軍事交流をこれを理由に停止すべきではない。それこそが米・中が難局を乗り越える道だ」と述べた。