C-130輸送機
C-130輸送機が海面をかすめ、機体から白色の化学物質を噴き出す――。今年5月、米空軍によるメキシコ湾原油流出事故救援の際の一コマ。「ヘラクレス」と呼ぶC-130が油を除去する化学剤を散布した。今、米軍のこの伝統ある装備が中国と意外にもつながりをもとうとしている。
現地時間の10月8日、ホワイトハウスの公式サイトに関心を呼ぶ信書が掲載された。オバマ大統領はこの中で議会に対し、C-130輸送機の中国への売却制限の取り消しを承認するよう求めた。先ごろ、ベトナムで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)会議で中米の国防大臣が会談したことから、ネット利用者の多くが、米国が21年の長期にわたる対中武器売却禁止を解除する始まりではないか、との見方を示した。だが、専門家の間では一部、「米国のC-130売却に過大な期待を寄せてはならない。これは米国が対中関係の緩和を図るために投じた試金石に過ぎない」との声も聞かれる。
◆完成機を売却するはずはない
軍事科学院世界軍事研究部の趙小卓・研究員は「C-130はすでに数十年以上使われているが、その性能は非常に安定している」と指摘。趙氏によると、中国の現在の輸送機は「運-12」シリーズが主体であり、C-130輸送機が陣容の一角をなせば、中国の輸送・補給能力は強化される。だが、C-130には軍事用と民生用があり、米国が最終的にどの型を中国に売却するかが、現在のところ最大の懸念だという。
オバマ大統領の議会宛ての信書を見ると、そこで提起しているのは、「軍需品輸出に関する規定の廃止」であり、つまり、米国が将来、中国に輸出する可能性のあるC-130は軍事用型になるはずだ、ということだ。だが、中国の軍事開発への戦略的防衛から、米国が組み立てて完成させた軍用C-130を中国に売却することは考えられず、飛行性能の面で多少なりとも手を加えることで、用途をできるだけ「海上に漏出した油の除去」に限定することもあり得る。
◆武器取引の多かった「蜜月時代」