筆者・陳言 「瞭望東方週刊」より
ワシントン時間の1月6日、次期首相就任への呼び声が最も高い前原誠司外相が米国を訪問した。今回の最大のキーワードは即ち、「日米同盟」だ。
米クリントン国務長官と会談した後、前原外相は「引き続き日米同盟間を深化させる」と表明。会談前にワシントンのシンクタンクで行った講演でも、「日米の同盟関係は日本外交の礎」だと、米国に対する姿勢を明確にした。
安倍普三元首相の「価値観外交」、麻生太郎元首相の「自由と繁栄の弧」から、鳩山由紀夫前首相の「東アジア共同体」、管直人首相の「政治的な日米同盟」に至るまで、日本の外交方針は表面的にはあたかも一年一変のようだが、実際、政権を担う民主党は外交面ですでに自民党の古き道にますます後戻りしつつある。
「人びとが目にしたのは、首相が鳩山氏から管氏になったことだが、外交がすでにアジア重視から日米同盟という古き道を再び歩く方向へと転換したことに気づいた人はむしろ非常に少ない」。東京大学のある教授は「瞭望東方週刊」にこう語った。
経済面でますます中国に依存し、政治面ではむしろ日米同盟と日韓同盟の道に再び戻る。中国人が深く考えるに値する日本の新たな動向である。
●「日米同盟」は05年に戻らねば
前原外相はクリントン国務長官とは何度も会っている。日本国内の沖縄に米軍が継続駐留することに反対する声はますます高まり、普天間基地の移設問題を収拾するのも難しい状況だが、少なくとも現段階では、両国のトップは問題がこじれるのを回避し、共通の認識を強調しようとしている。
日本の保守世論の代表である読売新聞は1月6日の社説で、「朝鮮の核兵器とミサイルによる威嚇、また中国が絶えず周辺国と摩擦を起こしていることから、東中国海と南中国海での安全を確保するルールを策定するに当たっては、日米関係を強化すると同時に、韓国とオーストラリア、インドとの多国間連携を強化する必要がある」と指摘。
この指摘にふと、米国の保守派の学者が先ず提起し、麻生氏の時代に発展した外交理念「自由と繁栄の弧」を思い起こした。麻生氏の時代には実現しなかった考え方は今、民主党内閣で前原外相により「現実外交」という形でその衣鉢は引き継がれている。
●「国家の利益は政権党が変わることで極めて大きく変わるものではない」