全国の各省(自治区・直轄市)では1月初旬より、「両会(人民代表大会と政治協商会議)」が次々と開催されている。「第12次五カ年計画」の初年にあたる今年の地方「両会」では、各地の今後5年間における政治の方向が明らかになる一方で、代表・委員たちの「平民意識」が顕著に示された。
▽最もホットな話題は民生
例年に引き続き、今年の地方「両会」でも民生の話題が最も関心を集めている。
第一の話題は「住宅」問題だ。陝西省の両会では、張平安政治協商委員が「保障性住宅(低中所得者用住宅)の対象者を至急拡大する必要がある。大学を卒業したばかりの若者を新世代の低所得者グループとして、低賃料賃貸住宅の対象者に組み込むべきだ」との見方を示した。これに呼応するように、河南省の両会では、張大衛副省長が「政府は発展の成果を就職したばかりの若者にも分け与える責任がある」と直言した。
「賃金増加」も人気の話題の1つだ。深センの両会では、鄭学定氏など9人の人民代表大会代表が、「市政府は最低賃金基準を大幅に引き上げるべきだ」と提言した。北京市政府工作報告では、向こう5年の都市・農村住民の平均所得増加率が8%とされ、初めて域内総生産の成長目標に追いつく形となった。上海市政府工作報告では、今年の域内総生産の成長目標が約8%とされ、都市・農村家庭の一人当たり可処分所得が経済と同じ成長率を保つことが提起された。
物価も民生に関わる問題だ。上海市の鄭惠強代表は「野菜の価格を安定させるため、公共の野菜市場を公共工事の範囲に組み込むべきだ」と提言した。陝西省の富君委員は「野菜畑の最低保有量制度を徐々に確立するべきだ。また、放置された農地を請け負い、野菜を栽培した農家に対しては、一定の奨励を与えるべきだ」と指摘した。
このほか、所得格差問題に関しては、重慶市政府工作報告で、「『第12次五カ年計画』期間中、社会の貧富の格差を測るジニ係数を0.42から0・35にまで引き下げる」ことが提起された。
▽高まる「平民意識」