■チャンスを逃さずトイレ会談
厳かな外交活動において、柔軟なコミュニケーションは一服の清涼剤だ。中日が対峙を続けていた2006年、当時の李肇星外交部長と麻生太郎外相が揃って国際会議に出席した。李部長がトイレへ立つと、麻生外相も随行員をその場に止めてすぐ後に続いた。こうして両外相は何も邪魔が入らない情況で20分余り思う存分に話し合った。その後、麻生外相は会話の詳細は明かさなかったものの、「私と李部長は『便利』な場所で真摯な話し合いをした」と説明した。
----2007年9月5日、李肇星前外交部長の北京大学国際関係学院での講義より
■各国大使に中国名の印鑑
ある時期、国連安全保障理事会の議長が任期中に他の理事国の大使に贈り物をするのが慣わしとなっていた。インドネシア大使は座席の名札を、米大使はチョコレートを贈ったことがある。1996年5月に議長を務めた中国の秦華孫国連大使は同月の最終日、各国大使に印章を贈った。各大使の中国名を篆書で彫ったものだ。秦大使は印章の由来と篆書の歴史について詳しく説明し、中国では印章が最初期に「璽」と呼ばれ、権力の象徴であったことを強調した。秦大使は最後に「今後私に手紙を下さる時には、この印章を押すのを忘れないで下さい」と「しかつめらしく」言った。このユーモアある発言に、各国大使は大笑いした。
----陳偉雄『安保理での経験』(経済日報出版社、2001年10月)より
「人民網日本語版」2011年2月10日