中国が「殲(J)-20」はどんな役割を演じるのか明らかにする前から、多種多様な見解が出ている。豪エア・パワー研究所分析部の責任者で中国とロシアの武器技術に詳しい専門家は、「開発に成功すれば、J-20は航空戦略を競っているアジアの地域バランスを変える可能性がある。それによりアジアの防空システムはほとんどが役に立たなくなる」と指摘する。
◆先進的な設計 巨大な潜在力
J-20のエンジン推力が4万~5万ポンドあれば、空中戦の戦闘機、迎撃戦闘機などの役割を果たすことができる。推力がこのレベルに達しなければ、近距離の空中戦では敏捷性に欠くが、迎撃機や爆撃機としては非常に役立つ。
中国はJ-20内部に搭載する新型誘導ミサイルをすでに配備している。同機の内部構造の写真はまだ公開されていないが、米機「F-22A」と似たようなものだと考えられるだろう。機体がより長く、より深くなっているため、より大きな爆弾やより多くの兵器が搭載可能と思われる。
技術成熟後に生産が始まれば、その戦略的影響は計り知れないものがある。攻撃だけ見てもこれだけの利点がある。さらに同機のステルス性はLバンドKuバンドまでレーダーに探知されることなく、現在アジアに配備されている防空システムをたやすく突破できる。
同機は対ステルスレーダーに追跡されたとしても、超音速巡航を採用しているため、戦闘機や地対空ミサイルが攻撃を仕掛けるのは非常に難しい。環太平洋地域で、超音速のJ-20に太刀打ちできる戦闘機は、「F-22Aラプター」と「ミグ31フォックスハウンド」しかない。
◆ステルス性と超音速巡航を兼ね備えた戦闘機 対抗は極めて困難