第3に、シリアは中東地域における敏感な国家で、その一挙一動が域内の各パワーに影響を与える。特にイラン、イラク、サウジアラビア、パレスチナ、イスラエル、トルコ、レバノン関連の問題において、シリアは不可欠の重要な参与者だ。シリアが転覆されれば、中東の固有のパワー構造と勢力均衡が崩れ、天地を覆すような変化が生じるし、中東地図が塗り替えられることすらあり得る。現状を見るとイスラエル、イラン、サウジアラビアなどは、シリアの敵国であれ友好国であれ、いずれもシリアが第2のリビアになることを望んでいない。アサド政権の退陣はなおさらだ。地域諸国の支持なしに西側諸国が事を成し遂げることは困難だ。
第4に、シリアのアサド大統領はリビアの指導者カダフィ大佐よりも人受けがよい。カダフィ大佐は生来荒馬で人に従わず、我が道を行くタイプだ。アサド大統領は上品で礼儀正しく、発言も慎重で、他国の指導者を罵ったことなどない。アサド大統領はカダフィ大佐よりもずっと人受けが良く、米国など西側諸国がシリアを叩こうとしても、アラブ諸国の多くは承諾しないだろう。
シリアで起こる全ては、アラブ各国の情勢の動揺が外部に流出したことによる現実の反応だ。だがシリアはすでに、ムバラク大統領の退陣とカダフィ大佐が抵抗し持ちこたえていることから、正負両面の教訓を汲み取った。シリアの高圧的政策は「動乱の奔流」の来襲を防ぐ堤防を築くに十分だ。政治の先行きに関わる重大な問題においてアサド大統領が軽々に譲歩することはないと一般に見られている。様々な要素の制約から、シリアが第2のリビアになる可能性も小さい。
「人民網日本語版」2011年5月12日