軍事やエネルギーの要衝となったジブチが多くの国々を引き付けている
◇ジブチを選択した5大理由
08年からソマリア周辺の海域で海賊がはびこり、往来する船舶の脅威となった。米国は世界金融危機が発生し、加えてアフガン・イラク情勢が不安定になったことから、紅海・アデン湾地域に大規模な軍事部隊を派遣することができなくなり、日本がアフリカの一角でより積極的な役割を果たすよう促した。日本は、ソマリアの海賊を取締まる過程で、軍事基地が緊急に必要となり、P-3C哨戒機が安全任務を執行するための場所を設けると言明した。その後、日本は軍事専門家グループを派遣。イエメンやオマーン、ケニア、ジブチを訪れ、軍事基地建設の可能性について協議した。
日本は最終的にジブチを選択。その理由は主に以下による。第1に、地理的に優位性がある。ちょうどエルマンデブ海峡とアデン湾の間に位置し、アジアのアラビア半島とアフリカの一角をつないでおり、海上交通の要衝となっている。第2に、イエメンやケニア、オマーンに比べ、国は小さく人が少ない。面積はわずか2.3平方キロ、人口は90万未満、政策の柔軟性は強く、政局は相対的に安定している。第3に、国内の大半が荒れ果てた砂漠であり、軍事演習に適している。第4に、アラブ国家に属し、イスラム国家にも属しているが、国内の反西側意識は比較的低い。近代以来、一貫してフランスの軍事基地(現在2900人が駐留)を抱えており、米日仏は同国で比較的良好な軍事交流関係を維持している。第5に、経済的に立ち遅れ、世界最貧国の1つであり、西側大国の軍事基地は現地に就業の機会をもたらす。基地租借料は同国の総収入の20%前後を占める。
◇大戦後初の海外軍事基地