文=西南政法大学学者・張紹忠氏
昨年末、日本の特別捜査部(特捜部)は信頼をめぐり、発足以来もっとも重大な危機に直面した。大阪地検特捜部の主任検事、元部長と元副部長が前後して逮捕され、大林宏検事総長も引責辞任した。
◇最強の捜査機関の神秘のベール
資料写真:東京で捜査する特捜部のスタッフ
特捜部は汚職や腐敗に関する事件を取り締まる専門の刑事機構。検察庁に属し、もともと非常に強い力を有する。処理する事件は多くが「密室での取引」であるため、証拠を収集するのは比較的難しい。だが、まさにいわゆる「道が1尺高ければ、魔物も1丈高くなる」(さらに大きな困難に直面する)であり、特捜部のメカニズムは称賛に値する。
第1に人員の選任。検事の多くは検察の仕事を10年以上経験しており、年齢35〜43歳の頭脳明晰で能力ある人材である。
第2に組織の構成。以下の班が設置されている。特殊直告班。政治家の汚職事件を担当し、裁判官の犯罪も含む。特別捜査班。証拠を受理、保管、処理する。特別捜査資料班。銀行や証券会社を家宅捜査して証拠を収集し、容疑者を追跡する。財政経済班。脱税や申告漏れ、証券取引、市場の寡占などを扱う。機動捜査班。警視庁へ委譲した事件の継続捜査を行う。
第3に行政の体制。検察庁の管理を受けるが、事件の捜査では独立している。仕事をやりやすくすると同時に、権限が過度に集中して監督を受け入れない事態できるだけ回避するのが目的である。
第4に職権の配分。特定の領域における捜査・起訴独占権を有する。事件の処理に当たっては、さらに警察に対し指示権と指揮権を行使できる。
◇特権意識でついに面目丸つぶれ