◇特権意識でついに面目丸つぶれ
検察庁にはもともと起訴すれば必ず有罪にする、との独立したかつ公正なるイメージがあり、特捜部はさらに汚職に反対する英雄のシンボルでもある。だが実際、検事たち気持ちにはむしろずっと、われわれにやり遂げられないものは何もない、との特権意識があった。まさにこうした傲慢な考え方が、この数年来のマイナスのニュースに追われる受動的な局面を招いたのである。このような過度のかつ極端な特権的な考え方を徹底的に捨て去ることが、検察改革のキーポイントだろう。
竹下元首相
事件の処理の経緯を分析すれば、特捜部の特権的な精神構造の根源が明らかになる。1947年に「隠匿退蔵物資事件特捜部」が設置された。翌年、昭和電工事件の捜査によって芦田均内閣は倒れ、特捜部はその名を世に轟かせた。1976年のロッキード事件。田中角栄元首相が米ロッキード社から賄賂を受け取ったことを摘発し、田中元首相は逮捕され、懲役4年の判決を受けた。1989年のリクルート事件。竹下登元首相が1億5000万円の政治献金の受け取ったことを突き止め、竹下元首相は失脚した。
特捜部は次々に国会議員や政府高官を逮捕するなど、輝かしい業績を残した後、エリート意識と傲慢で尊大という浮ついた心理がおのずと、組織の内部で膨れ上がっていった。
◇名称の改革は保留し権限を規制