◇徐々に社会的地位を取り戻す戦犯の子孫
敗戦後、A級戦犯(戦争の指導的立場にあった人で、極東国際軍事裁判により有罪判決を受けた人)の遺族、と烙印を押された彼らの宿命は苛烈だった。敗戦直後、東条英機らA級戦犯に対する日本国民が抱くイメージはドブネズミと同じく汚らわしいものであった。戦犯の遺族にも民衆のこうした避難の目が向けられた。東条英機の遺族は、石を投げつけられたり、避難所の米の配給を何度も拒絶されたりと、さまざまな場面で屈辱的な思いをしてきたという。東条英機の孫の東条由布子さんは、「東条の姓を名乗ることすら嫌だった」と戦後50年における一族の苦労を語っている。
だが時代は流れ、日本の社会にも変化が起きてきている。戦犯の子孫の中には、人の上に立つ者として社会の一角を担っている人もいる。国会議員を務める者もあれば、経済界の権威となっている者、作家や芸術家として成功している者もいる。なかには多大な影響力と持つ政界のスターにのし上がった者もいる。
安部晋三・元内閣総理大臣の母方の祖父は、1948年に釈放されたA級戦犯容疑者の岸信介(第56代内閣総理大臣)である。政党「たちあがれ日本」の代表を務める平沼赳夫議員の養父は、A級戦犯の平沼騏一郎である。平沼赳夫議員は運輸大臣、通商産業大臣、経済産業大臣などの要職の歴任してきた人物である。
アナリストによると、戦犯の子孫が日本の社会において地位を確保できるということは、日本国民の意識が変化していることを表している。日本国民のほとんどは「戦争は昔のこと」という認識をしている。戦犯の子孫に対しても「寛容な態度を示すべき」とし、戦犯達の責任を子孫に負わせるべきではないという意見が一般的である。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年8月12日