文=新華軍事評論家 鄭文浩氏
一般的に航空機は離陸と着陸時に問題が発生しやすい。ロシアの最新戦闘機T50はモスクワ航空ショーで離陸する瞬間、エンジンが突然故障し火を噴いた。幸い操縦士が飛行停止を即決したため、操縦士と戦闘機は無事だった。
試験飛行段階の新型戦闘機が航空ショーでアトラクション飛行するのは世界でも比較的珍しい。このことがロシア人の気骨と航空製造業の焦りを反映している。ロシアが公開した戦闘機T50は中米両国のステルス戦闘機の板ばさみになっているとの見方がある。ロシア航空産業は現在、他国に追い越されるだけでなく、存亡の危機を迎えている。
今回の航空ショーに関するニュースから、ロシア航空産業に今最も必要なのは「注文」だとわかる。ロシア本国の注文でもいいが、海外からの注文であれば尚歓迎だ。T50がはりきってアトラクションを行ったのは何より資金力のある海外パートナーを見つけたいからだ。T50の登場自体が市場競争の結果だと筆者はみる。ロシアの実力からすれば、T50は今よりもっとSFチックなはずだ。ソ連崩壊後、ロシアはSu27、Su30、Su35、MiG29といった戦闘機を国際市場向けに販売し始めた。それから20年経ったが、いまだにロシアにはこれらの製品しかない。基準や生産技術面でロシアの戦闘機は米国など西側諸国と相当な開きがある上、アフターサービスではさらに後れをとっている。ロシアに一流の航空宇宙技術がないとはいえないが、多くの国はロシアの空気力学設計、エンジン技術、レーダー技術に興味がない。彼らが必要なのは使える装備と良質なアフターサービスだ。しかしロシアはそれが不得意で、うまく対応できていない。