21日、朝鮮との国境でパトロールする韓国の兵士。
◇「ニュースを見て知った」
韓国の情報機関・国家情報院の 元世勲 (ウォンセフン) 院長は20日、国会情報委員会で証言し、朝鮮中央通信社の19日正午の「特別放送」後、金正日総書記の死去を知ったと話した。他の国の状況も同じようなものだった。
金寛鎮(キム・グァンジン)国防相も国会国防委員会で、金総書記死去を「ニュースを見て知った」と明かし、「現在の国防情報システムには限界があり、金総書記死去を把握できなかったが、われわれは情報収集力を強化する必要に迫られている」と述べた。さらに「米国や日本等の国も事前に把握できなかったようだ」と強調した。
一部の議員からは、朝鮮が同日午前10時ごろに「特別放送」を予告したにもかかわらず、「(金総書記死去を)テレビを見て知ったというのは、深刻な問題だ」との声や、「ある大手企業がすでに情報を得て、その真実性を確認中だったというのに、国家情報院がまったく知らないとは何事か?」「莫大な国家予算は一体何に使われているのか?」などという声が続出した。
◇「情報共有が不徹底」
日本政府の関係者は20日、朝鮮中央通信社から19日に「特別放送」の予告を受けた後、内閣情報調査室が首相官邸に報告したが、野田首相は特に反応を示さなかったことを明らかにした。
情報調査室の幹部は公明党朝鮮問題対策本部の会合で、情報調査室は19日午前10時8分、この「特別放送」は94年の金日成主席の死去以来で、金総書記死去を発表する可能性があるかもしれないと首相官邸などに報告したと話した。
この国内外の重要な情報収集を担当する政府機関は同日午前10時39分、過去の朝鮮の「特別放送」と「重要放送」の一覧表を、首相官邸の秘書官室に送っていたという。
情報調査室の幹部は「秘書官は首相に特別放送があることを報告したようだ」と話した。
しかし金総書記死去の発表があるまで、首相秘書官室から情報調査室に何も尋ねてこなかったという。野田首相は12時ごろに官邸を出て、9月初めに就任後初の街頭演説に向かったが、途中、金総書記死去の一報を受けて街頭演説を中止し、12時9分すぐさま官邸に戻った。
日本の共同通信社は、民主党政権内の情報共有が不徹底なことが浮き彫りになったと伝えた。公明党、自民党など野党が野田内閣の危機管理の甘さに対する批判を強めるのは必至だ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年12月22日