2月15日付の「環球時報」は、韓国の一部メディアと政治家が中国で脱北者の逮捕が相次ぎ、30人以上の脱北者が中国の警察当局によって今月20日に朝鮮に送還されることを大々的に取り上げたと報じた。韓国「東亜日報」は、「朝鮮に送還された脱北者は3代にわたって滅族させられる」とし、韓国政府に中国に圧力をかけるよう仕向けた。さらに、韓国の一部の政治家と市民団体は14日、在韓国中国大使館前で抗議を行った。一方、韓国の報道のモラルを見直すメディアもある。
「東亜日報」は14日、「脱北者31人が中国で拘束、北朝鮮送還の恐れ」という見出しの記事を1面トップに掲載し、中国が脱北者の取り締まり強化期間にあり、今月8日から12日にかけて瀋陽、長春、延吉で31人の脱北者を逮捕したと報道。また、朝鮮の指導者・金正恩氏は金正日氏の死後に朝鮮脱出を図った脱北者に対して「逆賊3代滅族」の厳罰を科し、送還後に「公開死刑」または「終身刑」にする指示を出したことが伝えられた。
報道にある脱北者の送還後の運命について、韓国3大テレビ局の一つであるSBSは14日、「3代滅族?韓国の朝鮮に対する報道の選択性と職業モラル」というテーマで討論した。同放送局は、韓国の一部メディアは金正恩氏の脱北者に対する「逆賊3代滅族」の指示を盛り上げていると見ている。この報道は、米国の放送局「ラジオ・フリー・アジア」による住民2人の発言に基く報道が始まりだ。またSBSは、同日付の「東亜日報」による脱北者に関する報道は読者を誤解させ、状況を理解していない韓国の一般国民は「逆賊3代滅族」が確かな情報だと誤解すると非難し、韓国メディアに朝鮮とその指導者を客観的に報道し、不確かな情報については慎重に報道するよう促した。
遼寧社会科学院朝鮮・韓国研究センターの呂超主任は14日、「環球時報」に対し、中国の脱北者に対する処置は「国際規則と中朝間の取り決め」「過去の慣例」「人道主義」の3つの原則に基づいて行われると明かした。呂超主任によると、中国の処置は正常で、中国の主権の範囲内にあり、指摘されるような「送還の動きを強めている」という事実はない。韓国の一部メディアは近年、中国の脱北者に対する処置を大々的に取り上げ、いわゆる人権問題を利用して中国に圧力をかけている。韓国政府は政治的な考えと民族感情から脱北者が韓国に入ることを歓迎しているが、実際に韓国社会に溶け込むことは非常に難しく、大きな社会問題になっている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年2月15日