米国の民間調査機関であるピュー・リサーチセンター(PRC)が最近発表した世界規模の調査によれば、多くの国の市民が「中国はすでに米国を越え世界経済の最強国になった」と見ていることがわかった。
米国は200年あまりの発展史で、重厚な物質的基礎を作り上げた。産業構造、イノベーション、世界中の人材が結集し、技術を発展させる潜在力などの面で、米国は他国の追随を許さない圧倒的な優勢にある。中国は世界最大の発展途上国であり、総合的な経済力は米国の半分程度、なお1億人以上が国連の基準でいう貧困線以下の生活に甘んじている。中国が「世界経済の最強国」という冠を頂くには、明らかに現状との齟齬がある。
改革開放政策から30年あまりが経過し、中国経済は確かに巨大な発展を遂げ、現在、安定的な発展を続けている。このことは刮目に値する。しかし、中国人は客観的、実務的に中国の発展段階や歴史的方向性を見極める必要性を冷静に認識している。
中国では一人当たりの資源は明らかに不足しており、発展はバランス、調和を欠き、持続可能な発展についても突出した問題が存在している。一国の発展についてはGDP成長だけでなく、経済発展モデルの転換や民生問題を解決できているかがもっとも重要だ。事実、国際社会は中国の発展について希望的に見ていると同時に、これから発展する中でさらに深刻な問題を解決しなければならないと知っている。有識者は、13億人という巨大な人口に比して、中国経済のパイはあまりに足りず、持続可能なインフラが固まるのを待つしかないと指摘する。どのようにしてこのパイを合理的に分配するか、さらに多くの人々を発展の受益者としていくかにカギがある。収入の分配に関する改革は、社会の公平性が問われ、経済発展に新しい活力を注ぐ助けになるだろう。中国という発展途上国に関しては、パイを「大きくすること」も「上手く分けること」と同じように難しい。この両者の関係をしっかりと把握するにはさらなる挑戦が必要だ。
中国経済の実力はここ数年、国際金融危機を背景にさらに高評価を得ている。今回の金融危機で先進国と新興国の実力の割合の調整は加速した。新興国の世界経済における額面や牽引力は明らかに向上した。一部では、発展途上国という地位は中国などの新興大国には適応できないとし、その増加し続ける経済力を理由に、新興国、特に中国は国際的な役割で多くの責任を担うべきという見方がある。米ピュー・リサーチセンター(PRC)に当初どのような考えがあったにせよ、その調査結果はこのような考えの人々にとって中国は「貢献を増やすべき」というプレッシャーを与える際の持ち駒になるだろう。世界的な発展に関る重要な国際会議を前にした、世論の新しい動向は疎かにできないものだ。
中国の前途を明るく見ることは、衰退すると見るよりも総体的にはよいことだ。中国の進歩・発展にとって、自国が自信を持つだけでなく、国際社会が中国を信用することも重要だ。だが、耳あたりのよい話には必ず具体的な分析が必要で、こういう話を聞いて有頂天になって実が伴わないうちに驕り昂ぶることがあってはならず、また表面的な美しい話に惑わされて、中国が発展途上国であるという基本的な国情を忘れてはならない。
中国経済が米国を越えるという問題について、米ピュー・リサーチセンター(PRC)は中国でも調査を行っている。大方はさほど楽観視していないという結果が出ている。実際、中国は世界経済の最強国という地位を熱望しておらず、どこの国に追いつきたいとも思っていない。中国人はしっかりと自国の状況を改善し、できるだけ早くよりよいゆとりある社会の全体的な建設を望んでいるのだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年6月18日