(五)民意と民心。上述した4つの点には、中国人の独自の政治哲学理念が含まれている。その中でも特に特別な観念は、「民意」と「民心」だ。民意とは一般輿論を指し、民心は人心がどちらを向いているかを指す。中国の哲学者の孟子は2000年以上前に、「其の心を得れば、斯ち民を得る」という概念を打ち出していた。中国には「民意は流れる水のごとし、民心の大なるは天のごとし」という言葉がある。つまり民意は重要だが、民心の方がより重要ということだ。
民意は民心を反映することがあるが、これを反映しないこともある。微博が流行している時代において、民意は1時間で変化する可能性があるが、民心は安定的な概念であるはずだ。現代政治学の言葉を使うならば、民心が反映するのは民族全体の長期的な利益であるべきだ。ゆえに一流の国家管理は、民心により国を治めるべきであり、単純に民意により国を治めることはできない。
過去30年以上に渡りポピュリズムの圧力を受け続けてきたが、中国の政権運営者は大多数の場合、民心により国を治めることができた。これにより中国は中長期計画を推進し、次の時代の発展を計画することができる。多くの西側諸国は、せいぜい100日後の計画を立てるか、次の選挙までの計画を立てることしかできない。
中国は依然として、多くの厳しい課題に直面している(汚職問題、地域格差、環境悪化など)。しかし中国は今、自国の近代史の中で最良の時期を迎えている。今日の中国は世界最大の経済・社会・政治改革の実験室となっている。中国には適応性の高い政治体制がある。中国は10年内に世界最大の経済体になり、中国および全世界に対して全面的で深い影響を及ぼすだろう。(張維為 復旦大学客員教授 春秋総合研究院研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2014年3月12日