中国は大国外交の新人であり、西側世界と数百年にわたり争ってきたロシアの熟練ぶりにはかなわない。だが中国には中国の明確な戦略があり、国の進む方向は明らかで、目標や任務の優先順位もはっきりしている。中国は今後数十年、さらには数百年を視野に入れて国の計画を立てている。中国はこれまでに民族復興という最大の目標を放棄したことはない。
中国の国力は徐々に強大化しているが、弱点も目立つ。西側と中国とのゲームはロシアとのゲームよりも手数が多い。西側との対立を激化させることは中国にとって賢明なやり方ではない。
中国は現在、西側世界と複雑な関係にあり、敵でもなければ友人でもなく、協力できる点がいつでも対立する点や衝突する点より多い。こうしたことが中国が世界的な実力レースで直面する頭打ちという戦略的圧力を大幅に緩和する役目を担っている。中国と西側は相互に警戒し、予防しあいながら、協力できる面も幅広い。中国社会はすでにこうした状態に慣れており、多くの人が西側と硬直した関係になることを望んではいない。