中共中央政治局は23日の会議で「国家安全戦略綱要」(以下「綱要」)を審議決定した。中国が初の国家安全戦略を策定し、明確な国家安全戦略文書のない時代に終止符を打ったことを意味する。(文:王新俊軍事科学院軍事戦略研究部国家安全戦略研究室研究員。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
綱要の策定は、新たな複雑な情勢下で国家の安全を効果的に守り、中国の特色ある社会主義制度を整え、国家ガバナンスの体制と能力の近代化を推進するうえで差し迫って必要なことだった。綱要は習近平主席が昨年4月15日の中央国家安全委員会初会議で打ち出した「全体的国家安全観」に関する戦略思想を貫徹し、中国の特色ある国家安全の道を歩む揺るぎない決意と自信を際立たせた。綱要は「中国の特色ある国家安全の道」の具体化であり、中国の特色に満ちている。
第1に、国民の安全が戦略の核心である。中国が実行するのは国民が主体として参加する社会主義政治制度であり、国民は国家の主体であり、全ての事業の主力部隊でもある。綱要は国民本位で、国民の安全を国家安全戦略の趣旨としている。新たな歴史環境の下、テロリズム、暴力犯罪、官僚の職権濫用、反社会的勢力など国民の安全を脅かす新たな状況が多く生じており、法律の範囲内で政府、公安、警察、司法、軍、外交、世論宣伝、民衆団体の協力協同を強化し、断固たる行動を取って、国民の権利と人身 財産の安全を守る必要がある。
第2に、綱要は国家安全の取り組みに対する中国共産党の絶対的指導をいささかも揺るがず堅持し、集中的で統一された、効率的で権威ある国家安全活動指導体制を堅持しなければならないと強調した。