▽人才が集結
清華大学バイオインフォマティクス(生命情報科学)教育部重点実験室では、試験管やビーカー、顕微鏡などの機器や設備が試験棚に整然と並んでいる。チャック氏(中国語表記:チャック)は手袋とマスクを装着し、薬用保冷庫から材料を取り出し、一日の研究を開始する。
チャック氏は、米国人の生物学博士で、現在は清華大学医学院で助教の任に当たっている。中国の革新の豊かな土壌に引かれてやって来た一人だ。
「清華大学にある低温電子顕微鏡やその他の顕微鏡の数は世界のその他の機構とは比べものにならない」。チャック氏は、中国の科学技術水準に対する世界の評価はますます高まっていると語る。
チャック氏のようなケースは少なくない。中国グローバル化研究センターの創業者の王輝耀氏によると、中国は現在、「世界の人才の環流」に参加しており、外国人の中国でのキャリア展開はここ10年、20年の新たなトレンドとなっている。
全国各地のデータもこのトレンドを裏付けている。例えば四川省成都では、市内のハイテクエリアで昨年7月、人才関連の新政策が打ち出された。すでにジャック・ショスタク、バリー・シャープレス、ジョン・ガードン、J・マイケル・ビショップ、ロベルト・フーバー、ロジャー・コーンバーグのノーベル賞受賞者6氏も柔軟な形式で誘致されている。先端技術での交流と科学技術プロジェクトでの協力をはかる。
海外の人才の誘致に中国政府は積極的だ。2017年末に打ち出された「国家科学技術計画への外国科学者のさらなる参加の推進に関する科学技術部の指導意見」は、国家科学技術計画プロジェクトの研究の外国籍科学者によるリードや参加を奨励するとした。また国家安全などにかかわる特殊な状況を除き、外国籍科学者が、中国大陸部で登記された大陸部内外の資本による独立法人機構を拠り所とし、国家科技計画プロジェクトの申請のリードや参加を行い、公平競争を通じて研究開発任務を担うことを奨励するとした。
海外人才が中国に来ると同時に、ますます多くの中国人留学生が帰国を選択している。米国メディアの報道によると、シリコンバレーの中国人技術者の間では、ひそかな帰国ブームが起こっている。ますます多くの中国人米国留学生が、外資企業での仕事や米国のグリーンカードを捨て、帰国して勤務・創業することを選んでいる。
この現象について、米国人作家のジョン・ネイスビッツとドリス・ネイスビッツは「中国のメガトレンド」で、中国政府は現在、「森林を構築し、樹木(国民)を成長させている」と論じた。中国政府は「人々が事業を始め、個人の夢を実現する環境」を作り出したと指摘し、「われわれはハイテクパークと革新クラスターに関する中国政府の戦略計画が実施されるのを目の当たりにした」とした。
「ますます多くの人才が帰国を選択している。中国がすでに、革新時代の原動力を本当の意味で獲得しているためだ」。米国の著名なヘッドハンティング会社、スペンサースチュアートに務めるケンジー(中国語表記:肯斉)氏は「(この流れは)まだ始まったばかりだ」と語る。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年6月2日