世界経済フォーラム(WEF)の国際競争力ランキングを見ると、中国香港は近年、常にトップ10に入っている。WEFが今月上旬に発表した最新の報告書によると、中国香港の国際競争力はシンガポールと米国に次ぐ世界3位。しかし香港はイノベーション力でやや劣り、常に20位を上回っている。このデータを見ると、香港がトップクラスの競争力を持つ自由経済体であるが、そのイノベーションの潜在力が全面的に発揮されていないことが分かる。
従来の産業頼みで新たな成長源に乏しい香港経済は、人々の注目の的になりやすい。家屋や土地などの問題の解消のほか、イノベーションは香港が苦境を乗り切る重要な部分となる。環球時報の取材に応じた香港の専門家と若者は、「香港人は優秀で、香港の基礎も堅固だ」と述べた。香港は近年イノベーションへの重視を強めているが、保守的な雰囲気が色濃く残る。例えば若者はビジネスや金融を学びたがり、冒険の精神が乏しい。イノベーションとは「少数派のゲーム」と感じがちだ。
特区政府、イノベーションを重視
金融サービス、貿易・物流、観光、ビジネス支援、専門的なサービス業という4つの伝統的な支柱産業の他に、香港特区政府はイノベーション・テック業界を重点発展対象としている。香港イノベーション・テクノロジー局が2015年11月に正式に設立された。
環球時報の記者は香港のイノベーションの重要エリアとされる、沙田のテックパーク及び南区のデジタル港を取材した。政府の力強いサポートは、スタートアップ企業にとって理想的な条件だ。関連データによると、香港のスタートアップ企業数は2014-18年の間に1065社から2625社に増加した。スタートアップ企業の従業員数は2381人から9548人に増加した。香港投資推広署が今年8月に発表した調査結果によると、香港のスタートアップ企業の重点研究対象には、データ・通信テクノロジー、IoT、データ分析、バイオテクノロジー、AI、VR、新材料が含まれる。応用面を見ると、フィンテック、スマート都市及びスマートホーム、医療・ヘルス、ビッグデータ応用などが人気分野となっている。