9日24時現在、新型コロナウイルス肺炎の感染確認者は累計4万人以上となった。新型コロナウイルス肺炎の感染状況について最近、人々が注目する新たな現象と説が見られる。大規模な検査及び臨床治療経験の蓄積に伴い、医学界の感染状況に対する認識も絶えず深まっている。「新華視点」の記者は注目されている問題について、権威ある医学専門家を取材した。
注目点その一 急に症状が悪化し、死に至る軽症者がいるのはなぜか
一部の患者は初期段階では症状が深刻でなかったにも関わらず、急に症状が悪化し数日内に重症になり、さらには死に至ることもある。復旦大学付属中山医院重症医学科副主任の鐘鳴氏は、患者の体内でサイトカインストームが発生し、各器官の機能が衰弱した可能性があると述べた。
サイトカインストームとは、感染症により組織の免疫細胞が活性化され、その過度な損傷が生じることを指す。正常な免疫は保護であり、過度な免疫は損傷だ。サイトカインストームは肺のほか、肝臓、腎臓、心臓などの器官を損ねる。発生後に患者の症状は往々にして急転直下し、すぐに意識不明、呼吸困難、息切れ、行き詰まりが発生する。それから血中酸素飽和度が低下し、さらには血液凝固障害が発生し、臓器が衰弱する。
サイトカインストームが始まると、収拾が極めて困難になる。北京協和医院第1期湖北省感染対策支援医療チーム長、感染内科主任医師の劉正印氏は記者に、「サイトカインストームはドミノ倒しのような連鎖反応を引き起こす。その1枚目がいつ倒されるかについてはまだ定見がない」と述べた。
「サイトカインストームは引き金のようなもので、これを引けば各器官の炎症・損傷の問題が生じる。サイトカインストームは各種臓器の機能障害を引き起こし、特に後期の呼吸器治療の効果が思わしくない患者、高齢者、基礎的な慢性疾患を持つ患者の死亡率が高い」
複数の専門家によると、サイトカインストームの発生には絶対的な法則がなく、予測と観測が困難だ。現時点で効果的な治療手段はない。
劉氏は「サイトカインストームが発生した患者は早期は非常に軽症に見えるが、後期になると深刻になり、10日前後でそれが最も顕著になることが多い。各種臓器の機能障害が発生してから治療を行うならば非常に困難だ。そのため早期発見と早期診断により、症状に合った治療を強化することが重要だ」と述べた。