注目点その二 なぜ核酸検査で「偽陰性」が出やすいのか
ウイルスの核酸検査において、新型コロナウイルスの感染の疑いのある患者がそれまでの数回の検査で陰性を示していたにも関わらず、検査を繰り返すうちに最終的に陽性を示すことがある。核酸検査における「偽陰性」の多発が注目されている。
北京中日友好医院が先ほど発表した通知によると、武漢から北京を訪れた発熱・肺炎患者が5日、新型コロナウイルス肺炎の感染を確認された。この患者は入院前に喉に綿棒を入れる新型コロナウイルス核酸検査を3回受けていたが、いずれも陰性で、インフルエンザAの核酸検査で陽性を示した。そのため1月30日に「重症インフルエンザA」として入院した。入院後に呼吸器を装着し、肺胞洗浄検査により新型コロナウイルスの陽性が出た。
このような複数の核酸検査で「偽陰性」が出るケースは珍しくない。
記者の調べによると、新型コロナウイルスの検査には「サンプル採取」「直接もしくは不活化後の核酸抽出」「核酸増幅法」の3つがある。十分な数の検査キットがあれば検査できるというわけではなく、各工程の共同の努力が必要だ。検査キットの性能、サンプル採取の規範性と有効性、実験における操作の標準性などすべての工程が、最終的な検査結果に影響しうる。
国家衛生健康委員会臨床検験センター副主任の李金明氏は「ウイルス核酸検査は現在、通常であればリアルタイムPCR法を採用している。この方法は成熟しており、高い特異性がある。しかし現在、病原体の核酸検査キットの研究開発経験を持たない企業も生産に加わっていることから、検査キットの品質を保証しがたい」と述べた。
さらに専門家によると、ウイルスがあれば試験キットで検出できるわけではないという。採取したサンプル内のウイルスの量が一定に達することで、初めてその新型コロナウイルス核酸を検出できる。
さらに患者のサンプルの問題、検査担当者の操作も精度に大きな影響を及ぼす。
金博氏は北京大学第一医院検験科の研究員補佐で、感染の疑いのある患者の核酸検査を担当している。「核酸検査は現在、基本的に鼻や喉に綿棒を入れることでサンプルを採取している。その部位はいずれもウイルス濃度が低めの呼吸器にある。ウイルス濃度が高い下気道、例えば肺胞洗浄や深部の痰の方がより良い検査標本だ。しかし軽症者に対してはこのようなサンプル採取方法が用いられないことが多い」
金氏によると、すべての検査プロセスの規範基準は、人員の操作によって左右される。記者の調べによると、北京と上海は緊急で医療従事者のサンプル採取の強化訓練を実施した。さらに三甲医院(中国で最高等級の病院)で採取されたサンプルを疾病予防管理部門の検査に送る、もしくは資格を持つ病院が疾病予防管理部門の再検査を自主的にチェックする方法により、「偽陰性」の発生を極力回避している。