新型コロナウイルスが世界を席巻した2020年、米国では100万人を超える感染が確認され、死者も数万人を数え、米国は感染者と死者の数が最も多い国となった。米月刊誌「ザ・アトランティック」は、「米国人は毎朝目覚める度に自分が失敗した国にいることを実感する」と嘆息した。
最先端の医療資源、技術、人材を有する米国がなぜ、中国や世界保健機関(WHO)が注意喚起していたにもかかわらず、100日も経たないうちに感染者が100万人に増えてしまったのか?米国での感染拡大の経緯は本当にはっきりしたのか?なぜまだ多くの謎が解明されていないのか?なぜ世界の主流の研究者はウイルスの発生源は自然界だとしているのに、米政府は事実を無視してひたすら陰謀論を騒ぎ立てるのか?
時間を戻すことはできないが、時間の欠片を拾い集め、つなぎ合わせることはできる。様々な疑惑が浮上する中、米国人は真相を求め、世界では答えを求める声が上がっている。
■どれだけの感染情報が隠蔽されたのか?
「ザ・アトランティック」誌は、2020年の米国は深刻かつ深遠な壊滅によって自ら驚愕したと指摘した。
中国が世界各国に同じ警告を発し、その合図もはっきりしたものだった。それに反応し、すぐさま対応した国もあるのに、なぜ米国はこれほどまで感染が拡がったのか?この100日、米国政府は一体何をしていたのか?米国政府なぜ感染状況について訂正を繰り返しているのか?――そのことを人々は知る権利がある。
1月初めには米国家安全保障会議(NSC)は米国国務省や国防情報局の系列にある国立医学情報センターからの報告を受け、新型コロナウイルスが米国に蔓延し、「パンデミック(世界的大流行)」に発展する可能性があると予測されていたにもかかわらず、なぜ米国の政治家らはウイルスの脅威を軽く描写し、「ロックダウン」を先延ばしし、「なにもかもコントロールできている」という言葉で国民を欺いていたのか?――そのことを人々は知る権利がある。
米国の多くの老人介護施設が相次ぎ集団感染したが、多くの家族が長い期間そのことを知らされなかった。なぜすぐに感染者が報告されなかったのか、死者の公表を遅らせたのか?――そのことを人々は知る権利がある。
米国の上院議員の多くが職務上の便宜を利用し感染拡大状況を把握した後、まず人々に警戒を呼びかけるのではなく、保有株を売却したのか?そしてなぜいまだ責任が追及されないのか?――そのことを人々は知る権利がある。
ホワイトハウスはなぜ感染症対策の政府関係者と米国議会の接触を制限し、パンデミック対策タスクフォースのアンソニー・ファウチ博士の下院公聴会出席を拒み、大統領の意にそぐわない新型コロナウイルスの研究者を解雇したのか?――そのことを人々は知る権利がある。
数多くの米国人が ラテン系移民とアフリカ系移民の感染率と死亡率が高く、より多くの米国人が経済苦で生活が困窮し、最下層の人々は治療するお金もなく「死を待つ」状態なのになぜ米国政府は10万人の死者が出ても「うまくやっている」と言えるのか?――そのことを人々は知る権利がある。
米国政府の感染症対策について「ニューヨーク・タイムズ」紙は、良くない情報を伝え、嘘の希望を持たせ、歴史を新たに捏造し、科学を新たに空想し、いわゆる英雄主義をくどくど論じ、どんな疑問の声も猛烈に攻撃し、指導力がない、共感がない――と指摘する。
米国の政治家にとって死者数は選挙政治を拠り所とする経済データに比べたら取るに足りないことと米国の世論も冷ややかだ。
ワシントン大学ヘンリー・M・ジャクソン国際問題研究学院のスコット・ラニッツ助教授は、高度なインターコネクションの時代に入った今、従来よりも多くの新しい情報に接触できる反面、よりコントロールされやすいと指摘する。デマや有害な情報で世論に影響を与えることで真相の解明や政治家への責任追及を難しくしている。
■世界の感染拡大の最中に米国は何をしたか?