韓国の朴振外交部長官が8日午後に青島市に到着し、就任後初となる中国訪問を開始した。これは韓国の新政権発足後で初となるハイレベル訪中団でもある。今年は中韓国交樹立30周年で、両国関係は発展を掘り下げる重要なチャンスを迎えている。中韓は今回の訪問を重視しており、双方が深く交流すべき話題も多い。また、ちょうどペロシ氏が台湾を訪問し東アジア情勢に激震を生じさせたばかりであるため、国際メディアから特に注目を集め、複雑に解読されている。環球時報が伝えた。
ペロシ氏の台湾訪問後の訪韓中に、韓国の尹錫悦大統領と朴氏がペロシ氏と会談せず、さらに韓国政府がペロシ氏の台湾訪問の問題への言及を意図的に避けたことが注意されている。これは韓国側の自身の特殊な地理的位置に基づく考慮であり、単純に理解することはできないが、中国社会は全体的に見て韓国の独立した自主的な外交及び中国への理性的な態度の現れと見ている。特に日本とは対照的で、中国社会から評価・尊重されている。これは朴氏の訪中に向け建設的かつ積極的な雰囲気を作った。
しかし中韓関係の健全で安定的な発展の維持を望まない国があることも明らかだ。中韓両国が共に向き合い歩み寄る努力をすると、往々にして冷や水を浴びせられ、かつ悪辣なたくらみを持つ疑問視を受け、仲違いするよう挑発される。今回もそうだ。米国と西側の大半のメディア(韓国の保守派メディアも含め)は中韓関係のネガティブな面を強調・誇張することに慣れており、溝、食い違い、さらには対立を作り出している。
確かに一部の現実的な状況が懸念されている。中韓の互恵、ウィンウィン、友好協力を主張する声が弱められ、感情的で短絡的で過激な態度が強化されている。中韓関係が前進すれば、直面する現実的な圧力が大幅に拡大する。この人為的に作られた溝を跨ぎ、壁を飛び越えなければならない。
尹政権はその発足から3カ月に渡り、ポピュリズムに操られるのを意図的に回避している。韓米同盟を強化し日本との関係改善を図ると同時に、対中関係を比較的重視し、中韓関係の安定的な流れを保っている。この流れがさらに定着し継続されるべきであり、それが中韓両国の利益になることを強調するべきだ。
THAAD問題は中韓関係の目の前に置かれた大きな懸案であり、これを回避することはできない。我々は韓国が自国の安全を守るため必要な措置を講じることに反対しないが、この措置は韓国の友好的な隣国である中国の安全の利益を損ねるべきではない。THAADは米国が北東アジアに打ち込もうとしている楔であり、地域情勢をかき乱し座して漁夫の利を得ることが目的だ。我々は韓国側が、中国側の戦略的利益に対して持つべき尊重を中国への「屈服」と理解せぬよう願っている。むしろ米国の圧力によるTHAAD配備こそが、韓国の米国の利益に対する「屈服」であることを知るべきだ。中国は韓国の「友達との付き合い方」に口出しをしたことがないが、「友達」から渡される刃物を韓国は決して受け取ってはならない。
また韓国にとって比較的差し迫った別の問題がある。米国は8月末にいわゆる「半導体クアッド」(米国、日本、韓国、中国台湾)の会合を開く。韓国メディアは最近、参加すべきか、どのように参加すべきかについて議論を続けている。韓国メディアの最新の報道によると、韓国政府側はこのほど半導体クアッドの事前協議に参加する意向を示した。さらに韓国メディアによると、韓国側は協議において米国側に「参加国は中国が強調する一つの中国の原則を尊重すること」「中国への禁輸を取り上げないこと」という前提条件をつけ、とにかく「中国を刺激しないこと」と求める方針だ。米国による寄せ集めの小グループに韓国が参加せざるを得ないならば、国際社会は韓国がその中でバランスを取り是正する力を発揮することに期待する。これは同時に韓国の独自の価値を示す。
韓国は重要な地域諸国であり、敏感かつ特殊な地理的位置を占めている。上述したように、台湾問題、半導体産業チェーン、米国のアジア太平洋における中国けん制のさまざまな動きをめぐる、韓国の利益の主張と政策の方針は米日と大きく異なる。韓国が自国の現実及び長期的な利益に基づく判断を堅持すれば、中国との協力の大きな余地が生まれる。朴氏のこの時期の訪中は、中韓関係をさらに発展させる契機になるだろう。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年8月10日