スイスにある世界的なビジネススクールの国際経営開発協会(IMD)は19日、2010年度版の国際競争力報告書を発表した。この報告書では、急速に経済回復したアジアの新興経済体の競争力が高く評価され、首位はシンガポール、2位は香港がランクインした。これに対して16年間ずっとトップを守ってきた米国は3位に後退。中国大陸部は2009年度より2位上がって18位になり、イギリスやフランス、日本などの経済大国を追い抜いた。
この報告書が出たことで、世界の競争力の順序が新しく編成されると言う声も聞かれるが、この報告書は果してどのくらい信頼できるのだろうか。またアジアの新興経済体の順位が上昇したのはなぜだろうか。こうした問題について、清華大学国際広報研究センターの周慶安研究員と、「中国経済導報」ニュースセンター主任の楊禹氏が語った。
今年は「リスタート」の能力も指標に
1989年から毎年発表されているこのランキングは、国際経済の全体を評価する上である程度、参考になり、経済の実力や政府の効率性、ビジネス効率、インフラ建設など四つの分野にわたる320の指標に分かれている。またその年によって世界経済の環境や投資環境が違うため、毎年、新たな指標が付け加えられている。
例えば2010年度の指標には、経済体の「リスタート」の能力が初めて登場した。つまり今の世界経済は自由落下の時代で、各国がこうした自由下落のリスクからいち早く抜け出すことができることを「リスタート」と呼び、ランキングでの順位上昇のカギになった。
競争力は経済的な実力とイコール?
競争力と経済的な実力は同じではない。経済的な実力は具体的なデータで判断するが、競争力は主にその経済体の今後の長期的な成長力の考察で、投資や為替レート、貨幣の流動性、失業率などがその考察の指標となる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2010年5月24日