周小川総裁はこれまでに今年の資本勘定開放について、国内外の個人投資に関する利便性向上、資本市場の開放、外貨管理条例の改訂の3つを重点項目として挙げている。人民銀はすでに、適格国内個人投資家(QDII2)の海外投資の試行を検討していると表明。第1弾は、上海、天津、重慶、武漢、深セン、温州の6都市がモデル都市となるもようだ。
個人のクロスボーダー対外投資の投資チャネル拡大と同時に、国内市場への外資参入規制の緩和も期待される。人民銀は先ごろ、銀行間債券市場の外資規制を緩和。海外の中央銀行や国際金融機関、政府系ファンドに対して、投資規模の上限と投資対象に関する規制を緩和した。これにより、今後は国内の債券市場で海外機関投資家への開放が一段と進むとの見方が広がった。海外機関投資家による中国資本市場への投資の利便性が向上するとともに、上海と香港証券取引所の間で相互の上場株式の売買注文を取り次げる「滬港通」(上海香港ストックコネクト)だけでなく、深センと香港の株式市場の相互乗り入れが可能となる「深港通」の導入も期待できる。
海外メディアによると、人民銀は上海自由貿易区で採用されている外債管理弁法の全国展開も検討しているもようだ。外債の規模に関する審査を撤廃し、企業が自己資本比率を基準に自由に起債をできるようにするというもの。
業界関係者は、中国の金融改革は今後一段と加速する可能性があると予想。人民元対米ドル為替相場形成メカニズムの改革に続き、適格海外投資家の取引規制緩和、資本勘定の一段の開放などが、市場の反応やマクロ経済情勢に応じて適切な時期に実施されるとみている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2015年8月21日