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急ピッチで進む北京の地下鉄網整備
発信時間: 2009-02-27 | チャイナネット

エピソードⅢ

地下鉄がわが家

地下鉄復興門駅の駅区長朱志英さんが乗客に根気よく説明している(写真・高原)


地下鉄復興門駅区長の朱志英さんは、26年間北京の地下鉄で仕事をしている。出札係から始まって、駅員、副駅長、駅長、駅区長を歴任して一途にやってきた。したがって地下鉄への思い入れは大変なものがある。

彼女が前門駅で出札係をしていた十数年前、大きな駅なら出札係だけで10人、全部で100人を超える駅員がいた。それが駅のホールで2列に並び、改札係がまた一列に並んだ様は、実に見事な迫力であった。ところが今は、一つの駅に駅員は平均して30余人である。出札や改札などが機械化されたおかげで、全く昔とは違った景色である。

朱さんは言う。「あのころの駅員は、地下鉄がわが家でした。夜が明けないうちに出かけ、日が暮れてから帰宅するという毎日、つまり長い年月、太陽を見ることがありませんでした。月曜から金曜までの平日はもちろん、土日はもっと忙しい。これが私の生活のリズムになっています。ホームを何回となく巡視し、絶えず乗客たちを案内していないと、心が落ち着かないような気がします」

ある日のことである。8時過ぎになって、夫が出張して不在で、家には幼い息子がひとりでいることをふと思い出した。慌てて家に戻ってみると、息子が食べかけのマントウを手に持ったまま、ベッドの隅に丸く縮まって寝ていた。

無邪気な顔が涙でぬれていた。帰ってきた朱さんに息子がしっかり抱きついて、「お母さん、お父さんがいないときは早く帰って来て! 風が強くて、とっても怖かったよ!」と言った。朱さんは、さすがに息子に非常にすまないことをしたと思った。

息子が小さいころは連れて遊ぶ暇はなく、定年退職後に、子供をつれて遊びに行こうと思っていたが、息子も今はもう自分と一緒に遊んではくれない年頃になっている。「あの子は、もう、奥さんといっしょの方がいいに決まっているよ」と、朱さんはさびしげに言った。

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