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珠江デルタ、「安い労働力時代」に幕(2)
発信時間: 2010-02-20 | チャイナネット

産業の高度化が内在的な成長動力に

賃金を上げなければ、農民工を引き留めることができず、企業の規模は小さくなり、利益も減っていく。賃金を上げれば、企業の規模は維持できるが、赤字は避けられず、明らかに行き詰まる。珠江デルタ地域の製造業は金融危機の後、にっちもさっちも行かない状況に陥っている。

こうした状況に陥ってようやく、政府が2007年に打ち出した「構造転換と高度化」の必要性に気づいた企業も多い。「構造転換と高度化」を労働市場が変化する前に実施すれば、労働力の需給バランスが大きく変わらずに済んだのであるが、利益を上げているときはその必要性に気づかないもので、安価な労働力が急速に消滅し、生死に直面してようやく、それが急を要するものになっていることを思い知るのである。

「就労は企業の利益や賃金水準と密接に関係している。広東省の企業はいま、利益が増えないうちは賃金を大幅に上げることができず、しかし従来の賃金水準では十分な労働力を確保できないという状況に陥っている。こうしたとき、産業の高度化が内在的な成長動力になる」との見方を示すのは、中国社会科学院農村発展研究所研究員の党国英氏。

党氏は、「賃金を上げて労働者を雇えば、コスト上昇は避けられないという心配もある。低賃金で労働者を雇い、利益を上げている企業は必ずこの問題に直面するだろうが、こうした企業が倒産したり閉鎖したりして市場から淘汰されていくのは、広東省にとっては良いことである。こうしてこそ、より良い企業を引き付けることができるのだから」と指摘する。

中山大学社会保障研究センター主任の申曙光教授は、「企業がいま講じているのは応急的な措置であり、労働者にとっての「メリット」を考えなければ、春節後も労働者を確保するのは難しいだろう」と指摘する。そして、珠江デルタ地域の企業経営者に対し、「資本を蓄積する時期はすでに過ぎ去った。構造転換と高度化をはかり、より多くの利益を労働者に分配することを考えなければ、先行きは暗い」と警告する。

「チャイナネット」 2010年2月20日

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