次に、中国の外貨建て資産の価値は実質購買力によって決まる。外貨準備は主に対外支払いに用いられるため、外貨準備に損失があるかどうかは、その実質購買力が下降していないかどうかを見なければならない。米国でインフラが発生した場合、外貨準備高の実質購買力に影響を及ぼし、同等数量の米ドル建て資産で買える実物の数量は減少する。だが、実際には中国の外貨準備運用は長年安定した収益を保持しており、資産運用の利回りは米国のインフレ率を上回っている。この数年、米国の消費者物価指数(CPI)は全体的に低めで、中国の外貨建て資産の収益率は、実質購買力の安定した上昇を保持している。
最後に、人民元の切り上げによる外貨準備高の簿価損失は、中国の金融資産の簿価上の余剰金を大幅に下回っている。2010年3月における中国の外貨準備高は2兆4,200億米ドルとなっている。同時期の中国の銀行業金融機関の資産総額は約12兆3,000億米ドルに相当し、中国の外貨準備高の5.1倍である。これは人民元が切り上がった際に、人民元建て資産の簿価収益が外貨建て資産の簿価損失の約5.1倍に相当することを意味している。さらに国民が株や債券などの形態で保有しているその他の金融資産および不動産資産の規模を考えれば、人民元建て資産の簿価収益はさらに上昇するはずである。上述した損失あるいは収益はすべて簿価変動するため、実際に換金を行わない限り、現実にはならない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2010年7月9日