だが、中国が日本国債へここまで大規模に投資しているのはどうしてか?最近の激しい円高からある情報が読み取れる。円は今年5月から値上がり続け、2カ月で1ドル=95円から最近では1ドル=85円台へと推移、ここ15年で最高値をつけた。累計上昇幅は10%以上を超え、ユーロ、ポンドなどドル以外の主要通貨を明らかに上回っている。中国はこの2カ月の日本国債への投資拡大により莫大な収益を手に入れた。
しかし中国の日本国債への投資拡大は、単に収益が目的なのかだろうか?中国の大量の日本国債購入に対し、日本の心境は複雑だ。日本には国債発行の負担や景気低迷、高齢化などの問題が存在し、日本本国での国債吸収には限界があり、この時期に中国が国債を購入すれば、日本の資金的負担が軽減するが、一方で日本は警戒を示している。日本国債を大量に保有する外国の投資家が突然国債を手放せば、日本経済の安定に影響が出るため、日本国内では、政府は海外の投資家による日本国債購入をあまり奨励すべきではないという声が強い。
こういった金融の安全性の側面以外にも、貿易コストへの懸念もある。中日両国はいずれも典型的な輸出主導型経済を推進しており、中国が円資産を貯めこめば円高を後押しし、日本製品の競争力が削ぎ取られることになりかねない。さらには、中国との貿易において日本が黒字国であることや、日本が得意な電気・機械などの輸出分野において、中国が急激に勢いを増していることを考えると、日本側の心配も理解できる。
「人民網日本語版」2010年8月12日