中国経済の新たな成長を脅かす多重の「後発劣勢」

中国経済の新たな成長を脅かす多重の「後発劣勢」。 中国を困惑させる「後発の劣勢」は資源価格の高騰だけではない。中国の製造業は日に日に盛んになっているが、国際市場の容量拡大には限りがあるという矛盾もしだいに目立ってきている。ベビーブーム世代の人口ははすでに50、60歳になっており、消費の黄金期はもう過ぎてしまった…

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発信時間: 2010-08-25 10:23:58 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

国家発展改革委員会国際協力センターの張小衝主任はこのほど、「中国経済の新たな成長は『後発の劣勢』の困惑と制約を少なからず受けると考える人が増えている」との見方を示した。

中国は急速な経済成長の中で、エネルギー供給のボトルネックがすでに目立っており、消費需要の拡大と資源環境の制約は経済発展の主な矛盾となっている。中国の国内需要が拡大し始め、経済成長の中でその役割を果たすようになってきたときに、世界のエネルギー資源価格はものすごく高くなってしまったのだ。

原油価格を例に挙げると、世界金融危機が勃発する前の最高値、1バレル140ドル台から大幅に下落したものの、現在も欧米諸国の工業化のときの水準に比べるとはるかに高い。鉄鉱石について言えば、中国は需要の半分以上を輸入に頼っているが、鉄鉱石価格は90年代末のほとんど10倍になっている。「中国製品はコストが非常に高い」とある経済学者は話す。

中国を困惑させる「後発の劣勢」はこれだけではない。中国の製造業は日に日に盛んになっているが、国際市場の容量拡大には限りがあるという矛盾もしだいに目立ってきている。

欧米などの先進国のベビーブームは第2次世界大戦後に起こり、例えば米国のこの時期の出生者は総人口の4分の1を占める。この世代はすでに50、60歳になっており、消費の黄金期はもう過ぎてしまった。しかし、「中国の製造業は今まさに崛起し、拡大しているところ」(国家展改革委員会の李朴民氏)である。「世界の工場」と呼ばれる中国の製造業がようやくある程度の規模に成長したときに、中国の輸出市場、特に欧米や日本は高齢化社会に入ってしまったというわけである。

貿易の面でのもう一つの「後発の劣勢」は、中国がWTOに加盟してグローバル化に積極的に参加し、世界経済に溶け込み始めたときに、さまざまな形式の貿易保護主義が強まってきたことである。

世界金融危機の影響が最も深刻であった09年、1~9月に十数の国や地域で発生した中国製品に対する貿易調査は80件、金額にして100億ドルにおよんだ。民間企業家の趙林氏は「こうした状況はいまも存在する。今後も続く可能性があり、中国の対外貿易の発展を制約するだろう」と話す。一方で、「欧米先進国が崛起したときは、貿易自由化が世界の主流だった」という。

外貨準備高が増える一方、主な準備通貨の貨幣価値が下っていることも懸念される。中国の外貨準備高は2兆4000億ドルに達し、世界一をキープしているが、資産の縮小と輸出コストの上昇というダブルパンチに見舞われている。

李朴民氏は、「これらの要因が中国の今後の成長をことのほか複雑にする」と指摘する。

経済学者によると、こうした「後発の劣勢」が現れてきているのは、中国の経済発展が自分だけのことではなくなり、世界各国と密接に関係するようになったからであり、国内と国外の二つの大局を統一的に計画する必要がある。

5年前、中国政府は全国各地に省エネ排出削減の「牢固たる目標」を全国各地に下達した。これは、中国は成長のために無制限に資源やエネルギーを使用することをもうこれ以上は許さないという意味である。各レベルの政府はここ数年、国外市場の多元化や輸出形式の転換について十分に考慮しており、一部の地方政府や企業は有益な答えを見つけ出している。

「後発の劣勢」にいかに対応するか。李朴民氏は、戦略的な新興産業をできるだけ早く育成し、経済成長の新たなエンジンを生み出すことがその対応策の一つだと話す。「世界の新しい科学技術革命は今まさに生まれ、爆発しようとしている。ある専門家は、新しい科学技術革命の特徴は『地球にやさしい、インテリジェント、持続可能』だと予測している」

自動車産業を例に挙げると、新エネルギー自動車の開発については現在多くの国が探索段階にあり、米国、日本、そして中国にしても、純電気自動車の開発競争においてはまだ優劣がついていない。欧米より数十年遅れている中国の自動車工業にも同等のチャンスが横たわっているのである。

李朴民氏は、「中国の工業化、現代化は先進国に遅れをとっているが、チャンスをつかんで経済発展方式を転換すれば、新しい技術変革においてほかの国と同じスタート地点に立つことができる」と話す。

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」2010年8月25日

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