第三に、労働力コストは急速に上昇しているが、それでもやはり、中国の労働力は全世界において、競争力を持っている。日本の通商白書が示したデータによれば、現在アジア国家及び地区での平均労働力コストが製品中に占める割合は4%であるのに対し、中国では3.5%となっている。これは、中国の労働力コストは急速に上昇しているにもかかわらず、アジア全体で見れば依然として比較的低い位置にあることを意味する。特に先進国である日本、韓国、シンガポールなどに比べれば、その差は歴然である。
また、中国はまだ1.5億もの余剰労働力を持ち、いつでも労働市場に参入できる状態にある。今後10年間は、中国にルイス・ターニング・ポイントが出現することはまずないだろう。中国は人口の面でやはり大きな潜在能力を持っている。
第四に、投資環境に対する評価において、労働力コストは投資コストの一部分に過ぎない。ある世界のグローバル企業数百社に対するアンケート調査によれば、それらの企業投資を行う上で最も魅力を感じる要素のベスト3は、市場チャンス、政治リスク、法的環境であるという。給与基準は5位で、それに近いものに労使関係及び税制優遇措置が挙がっていた。また別の、中国進出外資企業1500社に対する調査では、沿海地域における労働力コスト上昇を解消するために、多くの企業が続けて今度は、中国内陸部に産業移転を選択するという結果が得られた。
ここから、中国の市場チャンス、その市場の大きさ、地域発展の空間、経済成長性、産業インフラ設備、労働力資質、政治リスク及び政策や法的環境等、総合的競争力において優勢であることが分かる。この総合的優勢が続く限り、従業員給与の適度な引き上げは、それほど外国企業の中国への投資の足を引っ張ることはない。商務部外資速報の統計によれば、今年の1~7月全国で実際に使用された外資金額は583.54億ドル、前年同期比で20.65%増加した。
とは言うものの、中国が外資を引き付けるための総合的競争力の優勢を維持するためには、今後も絶えず努力をしていかなければならない。政府の外国投資企業に対する誘致やサービスを更に向上させ、マクロ経済における各要素のクオリティを高め、市場開放領域を拡大し、絶えず労働力資質を高め、今以上に開放的で、最適な投資環境を創造することが今後の課題である。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年9月12日