低賃金の中国は消滅しつつあるのか

低賃金の中国は消滅しつつあるのか。

タグ: 低賃金 中国

発信時間: 2010-09-14 15:28:49 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 

深刻な社会対立を避けるために、中国の各レベルの政府は若干の介入を行い、最低賃金水準の引き上げや低収入者のセーフティネットの拡大などを実施している。最低賃金を30%以上も引き上げた省もある。しかし最低賃金は効率賃金よりはるかに低いことが多く、したがって、賃金と労働生産性が見合っていない状況を根本的に変えることはできないでいる。

政府の強制的な政策によって賃金の引き上げを行うと、労働力の再配置のスピードが落ち、「余剰労働力」が長期的に存在することになる。市場均衡賃金が、雇用者が魅力的な給料を支給するに十分に足りる水準にまで上昇しない限りは、収入不均衡の状況を根本的に改善することは不可能である。

それでは、中国に工場を設立している会社――多国籍企業であれ、中国企業であれ――は中国を離れてベトナムやバングラデシュ、モザンビークなどに移ってしまうのだろうか。その可能性もある。しかしこれは他の国の賃金効率が中国より高い場合(即ち生産性が中国より高い)にのみ発生することである。中国の名目賃金が上昇しただけでは、企業の移転を招くには至らない。つまり、現在のところ、全体的に言えばこのような状況が発生することはないのである。

中国の賃金効率は他の発展途上国より高い水準にある。過去12カ月の中国への海外直接投資(FDI)が賃金上昇の中でも加速していることがこの証拠である。例えば、7月のFDIは前年同月より29.2%増加し、世界平均水準をはるかに上回った。FDIが安定している要因はたくさんあるが、賃金上昇そのものが投資家が最も懸念する資本収益に影響を与えることはないだろうということを意味しているのは確かである。

どの面からみても、中国の賃金問題は想像よりはるかに複雑だ。名目賃金が上昇しても、インフレによって実質賃金は停滞してしまう。たとえ実際賃金が沿海都市である程度上昇したとしても、「労働力の過剰」で全国平均は低くなってしまう。さらに言えば、全国の実際賃金がある程度上昇したとしても、労働生産性の上昇率のほうが高ければ、中国の競争力が下ることはないのである。

つまり、結論としては、今後10年もしくは20年の間に、中国の競争力が賃金上昇によって脅かされることはない。中国が短期間で労働力を農業から現代経済分野へと移行させる再配置を完成させることは不可能であるため、予測できる未来は、中国は依然としてコスト面の優位性を備えた経済体ということである。(樊鋼 北京大学及び中国社会科学院経済学教授、国民経済研究所所長、中国経済体制改革研究会秘書長)

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」2010年9月14日

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