▽「金含有量」引き上げには、公共サービスシステムと社会保障制度の充実を
個人所得の「金含有量」を引き上げるには、公共サービスシステムと社会保障制度を充実させることが必要だ。もし個人所得の大部分が教育、医療、年金の準備に充てられれば、あるいは基本的な公共サービスのコスト支払いに充てられる必要があれば、個人が実際に所有し、実際に消費や投資を行う現金がその分だけ少なくなり、個人所得の「金含有量」は下がってしまう。よって個人所得の「金含有量」を引き上げるには、社会の建設を強化し、整った基本的公共サービスシステムをうち立て、社会保障制度を改善することが必要になる。公共サービスや社会保障への支出が減少すれば、それだけ実質所得が増えることになり、消費力や生活の質が大幅に向上することにつながる。そこで政府の職能の転換の加速やサービス型政府の建設が求められることになる。これまで政府は極めて多くの経済建設の職能を担い、多額の財政収入を経済建設に投入してきた。こうしたやり方はある一定の時期には積極的な作用をもたらしたが、、常態化してしまうと、投資の過熱を激化させ、個人消費を圧迫しただけでなく、公共サービスと社会保障への投資に影響し、国民が教育、医療、その他の公共サービスで過重なコストを担うことになった。過去一定の時期に、中国経済にみられた著しい周期的な経済過熱状態は、政府の投資推進という要因がもたらしたものだといえる。経済の過熱がもたらしたインフレが、個人の実質所得をより一層縮小することが予想される。