国の経済と民生に影響を及ぼす重要な基盤産業として、不動産業の2011年の動きに注目が集まっている。資金や土地購入費の増加、マクロ調整などにより、不動産業の景気は新たな試練を迎えている。2011年に不動産価格は再び最高値を更新するのか、成約数の減少によりデベロッパーは値下げを行うのかなど、さまざまな懸念があるが、価格、販売、デベロッパー、ローン、不動産税などは2011年の不動産業の動きを知るキーワードになっている。
不動産価格が再び高騰する可能性は低い
国家統計局のデータによると、2010年1-11月の全国70大中都市の不動産価格は7.7%上昇し、通年の上昇幅はやや下がり約7%になる見通し。アナリストは、昨年の数値が高いことや政策面の要因により、2011年に全国の不動産価格が10%以上上昇する可能性は低く、不動産価格の高止まりや安定しながら下落する動きが現れる可能性が高いと予想する。
月ごとの動きで見てみると、2010年1-4月は上昇、5-8月は下落、9-10月は再び上昇、年末はゆっくり上昇し、政策が大きく影響しているのがわかる。年間を通して見ると、前期比の価格上昇幅は比較的小さい。不動産調整策の効果はすでに現れているが、価格を押し上げることが予想される以下の要因に注意する必要がある。
まず、地価の上昇幅が不動産価格を上回ることだ。2010年1-11月の全国のデベロッパーの土地購入費用は前年同期比で67.4%上昇し、単価で見ると地価の上昇幅は不動産価格を大幅に上回る。特に2010年末、多くの都市に「地王(土地取引で驚異的な価格で落札された案件)」が再び誕生し、これらは不動産価格を押し上げると考えられる。次に、堅調な需要によるけん引。中国人民銀行が2010年12月に発表した都市預金者アンケートの結果によると、住宅購入を考えている人は全体の16.2%で、2四半期続けて上昇した。そのほか、一級都市で不動産価格が安定していると同時に、多くの二級、三級都市では遅れて上昇する可能性があり、こういった動きに注意する必要がある。
2005年以降、中国の分譲住宅市場では販売価格の前年同期比の変動幅が拡大し、変動のサイクルが縮小するという特徴が見られる。これは、2008年以降にデベロッパーの売上高の増加と中国不動産開発産業景気指数のサイクルが一致してきているためとの見方がある。住宅・都市農村建設部などの関係部門は、2011年も引き続き不動産市場の調整を行うことを表明している。ここから、再び高騰する可能性は低いと考えられる。現状を見ると、大幅に下落する条件も備えておらず、小幅変動となる可能性が高い。