だが日本ではギリシャのような債務危機は起きていない。その要因として、日本は生命保険会社など国内の投資家による国債保有率が95%に達しており、しかも長期保有の傾向にあることが挙げられる。70%の国債を海外投資家が保有するギリシャとは状況が全く異なる。
国内で国債を大量に消化できるのは、日本に1440兆円におよぶ国民貯蓄があるからだ。日本人はお金を国内の銀行や生命保険会社などに預け、銀行や生命保険会社はその資金で国債を購入し、そこからわずかな利回りを得るという仕組みになっている。日本の金融機関が増え続ける貯蓄の使い道に苦慮しているため、これもやむを得ない結果だ。
「人にして遠き慮(おもんぱか)り無ければ、必ず近き憂い有り(遠い将来の事を考えないと、目の前に思いがけない憂いが必ず生じる)」----。危機意識の高い日本人は、潜在的な危機をすでに認識している。みずほ総合研究所の推計によると、名目GDP成長率1.5%との政府見通しに基づけば、高齢化や社会保障費の増加が持続することは必至で、消費税引き上げを含む税制改革に乗り出さなければ、2025年にも国債が国民貯蓄と横並びになるという。