▽日本経済の教訓を研究
中国では、1985年に「プラザ合意」に調印した後で日本円は急激に上昇し、輸出産業に打撃を与え、これが日本経済の長期的低迷の発端になったとの見方が優勢だ。そこで人民元切り上げの問題をめぐり、中国は海外からの人民元大幅切り上げの要求に対して、一貫して慎重な態度を取ってきた。だが日本では、日本経済の長期低迷の直接的な原因は、政府が「プラザ合意」の後で緩やかすぎる金融政策を採ったことにあるとの見方が大勢で、中国の分析を疑問視する声が多い。
日本のバブル経済崩壊についての一般的な見方は、政府が金融引き締め政策をうち出すのが遅すぎたから、というものだ。2008年の秋に世界金融危機が発生すると、中国は経済情勢悪化への懸念を踏まえて、緩やかな通貨政策に移行したが、2010年には融資条件の制限を厳格化し、金利を引き上げる方向へと転じた。中国は株式市場をはじめとする市場の動きをじっくり見据えると同時に、こうした政策を慎重の上にも慎重に実施している。このたびの不動産税制度の導入にあたって、中国は日本の政策の内容を参考にすると同時に、市場をにらんで行動するという戦略を採用した。
現在、北京などの大都市では、不動産価格がおよそ市民の年収の40年分から50年分にあたる。これほど高騰した不動産価格を軟着陸させることが、政府の当面の重要な課題だ。中国は今後も日本の経験を参考にするとみられる。
中国にとって中・長期的な課題は貧富の格差の縮小であり、カギは所得の再分配にある。日本では地方自治体間の収入の格差がそれほど大きくないが、中国では2009年の一人当たりGDPトップの上海市と最低の貴州省とでは8倍の開きがある。日本の相続税や地方交付税の制度は中国にも参考になるものだが、導入となれば中国では既得権益層が反対に立ち上がることは必至で、政府が断固として税制改革を推進できるのかどうか、今後の見通しはまだまだ不透明だ。
「人民網日本語版」2011年2月9日