このほど開催された中央経済活動会議において、世界経済情勢には今年も引き続き、不安定かつ不透明な要因が多くなることが指摘された。現在、世界経済には深刻かつ複雑な変化が起きてきている。例えば、世界の経済構造は調整期へ移り、世界の経済管理機能も変革期に突入。イノベーションおよび産業のモデル転換は胎動期にあり、新興市場国家の実力は上昇期に入りつつある。
さきに国連が発表した「2011年世界経済の情勢と展望」では、来年、世界経済が直面する主な不確定性およびリスクは先進国によってもたらされ、国際貿易と国際金融ルートを通じて、発展途上国の成長と安定性に影響を及ぼすと指摘された。
小さな要因が全局面に影響を与える現在の世界経済において、「十二五(第12次五カ年計画、2011-2015年)」の下、中国は如何にして世界の動向をつかみ、複雑な局面に対処していくのだろうか?そして、新たなチャンスと挑戦に対して、私たちはどのようにして国内に立脚しつつ、危機をチャンスに変えていくのだろうか?
流動性の氾濫が新興市場を直撃 穏健な通貨政策でインフレに対応
米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は、11月初めに発表した6000億ドルの量的緩和策に続く量的緩和策第三弾の可能性を否定しなかった。これにより、世界経済にまた不安を与えそうである。
「ドル安、量的緩和」は経済界における2010年のキーワードとなった。多くの国が通貨を大量に発行したことで、国際資本市場の流動性氾濫を招き、多くの商品価格が値上り。また、大量の投機資金の新興市場国家への流入が加速したことで、世界経済の回復、金融の安定、経済の安全に影を落とした。
「ホットマネーの流入は資産バブルを加速させるのみならず、通貨のインフレ観測を強め、中国のマクロ調整の難度を高めてしまう」。中国科学院金融所金融室の曹紅輝(ツァオ・ホンフイ)主任はこのように述べた。
米ドル緩和の動きにより、新興経済体が直面する輸入型インフレの圧力を無視することはできない。データによると、ここ最近、新興経済体に流入したホットマネーの規模や額は、金融危機勃発の前の水準を越えた。また、多くの国で、最近のCPI変動率がその国のインフレターゲットを大幅に超えてしまっている。