今年12月に、中国は世界貿易機関(WTO)加盟の10年目を迎える。この10年間を振り返ると、さまざまなデータが光り輝いている。輸出規模は4.9倍に増加し、輸入規模は4.7倍に増加した。世界1位の貨物輸出国となり、世界3位の輸入国となった。外資導入額は7千億ドルを超えた。製造業生産額は世界全体の17%を占め、米国の16%を抜き、世界一の製造業大国になった。経済規模は英国、フランス、ドイツ、日本を抜き、米国に次ぐ世界2位の経済体になった、などだ。「国際金融報」が伝えた。
WTO加盟(「入世」)により、原材料の輸入コストが低下し、輸出量が増加し、国内の多くの産業に、特に労働集約型の産業と独占サービス型の産業に空前絶後の発展がもたらされた。たとえば繊維・アパレル産業の輸出額は2002年の617億6900万ドルから、10年は2065億3千万ドルになり、3.34倍増加した。電気通信産業は01年のニューエコノミーバブルの崩壊後、世界的には発展ペースが鈍化し、成長率は毎年約3%程度となったが、中国は売上高が2けたのハイペースで増加を続け、世界随一の成果を挙げた。
恩恵は全方位的に広がる。最大の恩恵は市場の拡大ではなく、関税の引き下げでもなく、統一的で開放され、競争と秩序がある大規模市場の建設に向けて強い推進力がもたらされたことだ。関連の法律法規の撤廃、修正、制定を通じて、中国の市場システムが育成され、発展し、中国の市場環境がよりよいものとなった。対外経済貿易大学中国WTO研究院の張漢林院長は「競争がなければ、電気通信製品の価格は依然として高額で、電気通信サービス業が大きく発展することは望めなかったし、現在のように電気通信産業の利用者が8億人を超える規模に到達することも難しかった」と話す。
WTO加盟は恩恵をもたらしたが、これと同時に中国経済は依然として厳しい試練に直面してもいる。今年、深刻な打撃を受けると予想される産業、たとえば農業や文化産業などは、ここ数年は国の支援の下で大きく発展してきたが、産業の安全性が警戒を要すべき問題になっている。
中国は8年連続で農産品の純輸入国であり、貿易赤字が年をおって拡大している。03年の農産品貿易は23億5千万ドルの黒字だったが、09年は130億7千万ドルの赤字になった。中国は5千年の歴史と燦然たる文明を擁する国だが、文化部の蔡武部長は昨年4月28日に次のように述べた。中国の文化貿易の赤字は依然として大きく、文芸公演を例に取れば、輸入公演の収入が10に対して、輸出公演の収入は1だ。中国の海外商業公演の収入は全部合わせても年1億ドルに満たず、海外の有名サーカス団が国外で一年間に稼ぐ金額に及ばない。