「これらの政治目的を理由に建設された新幹線が、東北、北陸、九州など各地に広がっていることは、日本の新幹線事業の汚点だ」
----東海道新幹線は開通後から80年代まで赤字続きだった。日本企業は多額の投資と赤字運営にどう対応したか。
「東海道新幹線は、黒字計上に向けてさまざまな対応を試みた。まずチケット売り場を増やし、利便性を高めた。JR(旧国鉄)の各駅には、みどりの窓口と呼ばれる新幹線の専用窓口があり、全国各線の新幹線・普通列車の乗車券を予約することができる。また全国の旅行代理店も、新幹線チケットの代理販売を行っている。また新幹線には回数券(10枚の価格で11回乗車可能)や通勤定期券の制度があり、乗車回数が多いほど得をする仕組みだ。東海道新幹線はさらに小中学校の修学旅行団体を対象に、ディズニーランド入場券込みのお得なセット販売を打ち出すなど、それぞれの顧客のニーズに合ったサービスを行っている」
「各駅の商業総合利用率の向上も効果的であった。駅前にホテル、レストラン、お土産屋、駅弁屋などを設けた。商業総合サービスがJRの営業収入に占める割合は、80年代以降ずっと約15%を保っている」