今年3月に発生した東日本大震災後、素早い対応のほか、心配された破壊的な大規模余震が発生なかったことが奏功し、日本の実業界の一部は勢いを再び盛り返しつつある。同時に日本企業は海外M&A(合併と買収)を絶えず加速させている。一方、震災後サプライチェーンの再配置を余儀なくされた日本のハイエンド製造業は生産拠点のシフトを進めているが、シフト先として中国大陸部を避けている。中国のビジネス専門紙「国際商報」が報じた。
3月の東日本大震災から5カ月もたたないが、多くの日本の製造業者は今後しっかりと利益を出せると見込んでいる。それと同時に、ハイエンド製造業を含む日本企業は海外M&Aをさらに加速させており、今年上半期に海外企業のM&Aに費やした金額は過去最高の約3兆円に達した。
▽日本企業の上半期の海外M&A 過去最高額に
内需縮小や電力不足などが重なったことから、リスク分散のため、日本企業は海外M&Aを加速させている。国際的な大手情報企業「トムソン・ロイター」(本社ニューヨーク)の統計によると、日本企業の今年上半期に海外企業のM&Aに費やした金額は約3兆円に達し、過去最高額を記録した。
同統計によると、日本企業の今年上半期のM&A件数は308件で、昨年の同時期に比べて27%増加。費やした金額も2兆9495億円に達し、昨年の同時期に比べて59%も増加し、件数、金額ともに過去最高記録を樹立。海外M&A対象国を見ると、中国40件、韓国22件、タイ17件とアジア勢が多く並ぶ。またM&A対象となった企業の中では、製造業が70%を占めている。
これについて専門家は、日本の経済成長率が低下しているため、日本の企業のアジア新興国へのシフトは必然的な流れとなっており、以前から懸念されていた日本国内産業の空洞化は避けられない情勢、と分析している。また日本銀行の統計によると、日本企業が保有する現金と預金の合計額は今年3月末の時点で211兆円に達し、初めて200兆円台に乗るなど、日本企業の豊富な手元資金が海外M&A の活発化を支えている。
中国外交学院国際関係研究所の周永生教授は「日本企業が中国でもM&Aを加速させていることは、中国経済の発展にとって決して悪いニュースではない。東アジアの企業が模範としている日本企業の経営方法は、効率がよく管理が厳しいことで知られており、この点で中国の市場経済全体の規範に好影響をもたらしてくれる。中国国内の企業も悪質なM&A発生を過度に心配する必要はない。日本の企業にはまだそこまでの経済的実力はない。警戒すべきなのはアメリカの大型独占企業に潜在する脅威」と指摘。