低リスク・高収益の投資がイノベーション創出意欲を削ぐ
胡潤研究所が発表した2011年版中国富豪ランキングによると、中国の千万長者(資産1千万元以上の富裕層)および億万長者(資産1億元以上の富裕層)のうち3分の1が、不動産投資による資産形成に成功した人々である。しかもこの割合はこの3年で拡大を見せているという。
中国人投資家は、リスクの低い安定した収益を好む傾向がある。貯まった資産を不確定要素の大きい事業投資に充てるのを好まないため、資産はリスクの少ない不動産市場への投機に用いられることが多い。グループ傘下に不動産開発会社を設立する国有企業が後を絶たないほどだ。つまり、この数年、うなぎ上りの収益を出している不動産業が、中国の製造業の足かせになっている訳であり、中国企業の躍進を阻む間接的な要因となっているのである。