焦点1:フォーブスの「税負担苦痛指数」は信頼できるものか?
回答:税負担苦痛指数ランキングは科学的に劣るものであり、実際の状況を反映していない
フォーブス税負担苦痛指数の算出方法をみると、各種税金の最高税率に基づいて苦痛指数をさんていしている。たとえば09年の中国の法人所得税率は25%が上限であり、苦痛指数は25とされる。同じやり方で個人所得税の苦痛指数は45とされ、企業が納める社会保険料の苦痛指数は49とされ、個人が納める社会保険料の苦痛指数は23、増値税(付加価値税)の苦痛指数は17、財産税の苦痛指数は0とされ、これらの数字を足して大陸部の税負担苦痛指数は159とされた。これはフランスの167.9に次ぐ世界2位だ。
中国社会科学院財政・貿易経済研究所税収研究室の張斌主任によると、税負担苦痛指数は科学的にみて劣った算出方法によるものであり、税負担の高低を反映する上で3つの重大な欠陥を含んでいる。(1)指数が根拠とする名目税率は実質税率とイコールではなく、実質税率は往々にして名目税率よりも低い(2)最高税率はごく少数の割合の納税者にしか適用されず、ある国の国民全体の税負担状況を反映することはできない(3)税率を単純に足すという仮説の前提はすべての税種を同じ重みで考えるということであり、これは実際の状況と大きくずれている--の3点だ。
張主任によると、国際的にある国の税負担の高低を考える場合、「マクロ税負担」の視点によって考えるのが一般的だ。つまり、ある国の税収が国内総生産(GDP)に占める割合で考える。フォーブス苦痛指数の尺度は不合理なものであり、この尺度に基づいて算出されたデータは当然ながら非科学的なものだ。
中国人民大学財政金融学院の朱青教授によると、フォーブスの最高税率を単純に加算するというやり方には、少なからぬ問題がある。他国でも、同指数が非科学的、不合理であるとみなす人は多い。たとえば中国の給与所得に対する個人所得税の最高税率は45%だが、最高税率を適用されるほどの収入水準に達する人は大都市でも納税者の0.2%を超えないという。