物価を比較することの意義は、価格そのものを分析することにあるのではなく、価格を通じて人々の感じていることを透かし見ることにある。物価の比較という話題が高い関心を呼び起こすのは、人々が現在の生活にかかる大きな圧力に対して敏感になっていることに根本的な原因がある。特に大都市に暮らす人々が圧力に敏感になっていることに原因がある。
最近、中国と米国との物価の比較という話題が広い範囲で関心を集めている。一連のメディアが北京とニューヨークとの物価状況を検討し、両都市の物価にはそれぞれ高低があることを明らかにした。たとえば海外から輸入される一般的な消費財の価格は北京がニューヨークよりも高く、中国人が「ぜいたく品」とみなす商品の価格が北京では信じられないほど高い。だが市内の公共交通、人力、知的財産権をめぐる商品やサービスの価格は、ニューヨークが北京より明らかに高い。
ざっとみたところ、北京またはニューヨークでの暮らしには、それぞれの長所があり、またそれぞれの短所があるといえる。だが物価を比較することの意義は価格それ自体を分析することにあるのではなく、価格を通じて人々の感じていることを透かし見ることにこそある。所得という要因を度外視して両都市の物価を単純に比較しても、問題の本質を見通すことはできない。